第5話

メールが面倒くさくなって、昼休みに外で神田に電話した。


「雛理!昼休みなの?」


「お前早く返事しろ」


「詳細って言われても。なにもわかんない」


「ちゃんと聞いとけよ」


「だってーアホそうな人だったし」


「関係ないだろ。人手が足りないから、入れないこともないだろうし」


「天野さんが連れてきたけど、あの人なに考えてんの?」


「だからそれ聞いとけ」


ったくうるさいやつだ。電話しても意味なかった。電話を切ったら、お父さんからメールが来た。


隼人はやとに確認したら、天野さんの義理の兄らしい。俺も知ってるやつで悟流さとるの友達だ。

そいつは、ライブハウスでバイトしてる。金が欲しいのかも。雇ってもいいが、酒飲みすぎるやつだからそこは注意しろ。あと、数字に弱いからその辺はなにもできない。


…なるほど。


天野さんは義理の兄と仲が良いらしい。聞いた話によると、天野さんは犯罪に巻き込まれて逮捕され、両親に見捨てられて、今は寺の養子になっている。変わった人だが、兄とはどんな人なんだ?


とりあえず、今日行ってみるか…

もう一度電話する。


「おい神田。今日俺がそいつに会う」


「まじ!」


「だから呼んどけよ」


「え、番号知らない」


「はぁ?隼人の番号は?」


「知らない」


使えないやつだ。今度は俺から隼人に電話。一応まだお父さんの舎弟だが、俺につけるかもとのこと。


「おい隼人」


「…あ、なんすか…」


寝起きのようだ。

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