3 無象の
巨大な建物の前に立ち尽くしてしまう私
どうすれば良いものかと思い少しずつ思考を巡らせる まずここはどこなのか、私は帰れるのか
考えるのは得意だ
とりあえず人に話を聞いてみることにする
という判断に至ったは良いのだが
私以外に人がいないのだ 誰1人として 私の周りに人は見えず
ただ列車や人混みの喧騒の音だけが鳴り響く空間となっていた 困って周りを見渡していると 巨大な電光掲示板のようなものにどこかで聞いた名前が映っている
[ようこそ 無象街へ ここは 345番通り 347番通りへはこちらから]
無象街 さっきその話をされたばかりだ
私はさっき、帰り道で その話を...あれ?
誰に...されたんだっけ...?
思い出せない 誰とその話になったのか全く思い出すことができないのだ 確かに話された 無象街について 私の街は無象街と呼ばれている話
でもなんで その人は無象街のことを知っていたの?
考えを巡らせる私 そんな私の耳に1つの声が入ってくる
『え?有象?』
声のする方に顔を向けると そこには煙と電子の塊でできた人間の形をしたモノが不思議そうにこちらを見ていた 多分...男の子
形こそは人間の形をしているがどこか不安定で崩れかけで 人間の形をしていないと原型がわからなくなってしまいそうであった
「あの!私!気づいたらここにいたんです!水溜まりに落ちて 意識がもう...」
やっと見つけた人(人じゃなさそうなもの)に説明する私 頑張って状況を説明する私をソレが止める
『しー!やめな!有象の声はよく響くからな 聞かれてしまうぞ』
聞かれてしまう?私が話し始めた瞬間にすごい勢いで止めてきた ソレは大体分かってるような口調で喋り出す
『有象なんかここに長居するもんじゃない ここは〝無象〟の住む街なんだ』
無象街/muzougai 渦雲/うずも @uzumo
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