2  入り口

踏み入れた水の先 


あれだけ違和感を感じていながら結局入ってしまう 

部活動であれだけ言われていたのに やってみないと分からない精神 いつも通りだ

でも今回に関しては私は踏み入れるという判断を心の底から後悔することになる


私の身体は水の中で落下を続けていた

息も続くわけではない、早く戻らなければと思い上を目指そうとするが水の中の引き込みの方が強く、戻るのは厳しく思えた 

まずい 呼吸が続かない...

私は過去に一度プールで溺れかけたことがあるがその時はまだ生きる感じがした 

今回は違う 引き込みの強さも戻れる感じもしない 死ぬ感じだ これ

苦しさに耐えれず 私は口を開ける 水が口の中に入る そして意識が少しずつ離れていく 


あーあ 興味本位で私、こんな死に方しちゃうんだ、ここで死んだとしたら 誰か気づいてくれるのかな... 誰か...


そんな事を思いながら 私の意識は途切れてしまった 


..............

「......」

「.......い!」

「...ーい!」

「おーーい!」


呼ばれている 私は聞きなれない声に目を開ける 苦しくない まさか天国にでも来たのだろうか 

目を開けるとそこには 私が水溜まりの中で見た世界が広がっていた 全然天国じゃない 

確かにあの時に見た 高いビルの群れ

見上げても屋上が見えないほどの高さ

ビルの群れの間を走り抜けるように小さな光が通って行く 車だろうか 


私を呼んでくれた声の元を探すも 周りには誰もおらず ただ目の前に広がる近未来で巨大な建物の前に私は理解が追いつかず ただ見つめることしかできないのであった


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