幕間 八王子城跡地ダンジョン(前)
幕間です。11月24日に配置位置を切りの良いところに変更いたしました。
時系列としては23話~24話の間の2週間の間かな、という感じです。
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「視聴者のみんなー!
私たちスカーレットは、今回はこの八王子城跡地の片隅にできたアンデッド系ダンジョンに来ていまーす」
ことさらにやたらいつもより明るい声を出してそうカメラに語りかけたのは、探索者配信事務所FunnyColor所属の探索者集団「スカーレット」のリーダーである「アカネ」こと久遠 茜だった。
「こ、ここはある意味で有名なダンジョンで、でてくるモンスターがゴーストやレイス、ゾンビなどアンデッド系ばっかりなアンデッドダンジョンなんですよねー。今回はそういったアンデッドモンスターとの戦闘対策についての解説動画となってます。よろしくねー!」
そこまで言いきってから、茜がチラッとカメラの横へと視線を向ける。そこに立っていた
「ね、ねぇ。ホントにこの案件するのぉ……いまからでもやっぱ止めれないかなぁ?」
そんな茜の弱気な言葉に、
「もー、茜ちゃんったら意気地がないなー。あたしと違って茜ちゃんならゴーストだろうがレイスだろうがゾンビだろうが、普通に攻撃を通用させれるんだからそんなにビビんなくてもいいじゃん」
「うぅ、だっていくらダンジョンのモンスターだって言っても幽霊なんだよ。逆になんでりんねや春香はそんなに怖がってないのよぉ。二人はそれこそアイテムとか千鶴の付与魔術がなければ攻撃通じさせられないじゃん……ゾンビとかには物理攻撃通じるかもだけど、あいつら臭くて汚いしさぁ……」
「しょうがないですよ、茜ちゃん。いつもお世話になってるダンジョンギア開発企業さんから、今度売り出す予定の対アンデッド系モンスター用聖属性装備の試用紹介案件がきてそれをマネージャーさんと事務所が受けちゃったんですから」
「そーそー。それにむしろ今回の試用装備が上手くちゃんと働いてくれるなら、あたしや春香だってこれから幽霊系モンスター相手に攻撃や防御が通じるようになるんだよ。しかも試用した装備はそのままあたしたちにくれるって案件じゃん。むしろやる気にならない方がおかしいよー!」
「茜さん、あきらめましょう。まぁ、茜さんが幽霊とか心霊系が苦手だっていうのは意外でしたけど……」
「にゃ、にゃにいってるのかな!? ゆ、幽霊とか怖くないし! 全然平気だしっ!!」
「じゃあ問題ないじゃん。さっさと入ってお仕事終わらすよー」
「そうですねー。雰囲気を撮るためにも夕刻から撮影始めてるんですし、あまり遅くなりすぎないうちに下層のセーフゾーンまで進みたいですよね」
「今回は企業案件ですから、配信じゃなく録画で進めていって後で編集しないといけませんからね。あまり遅くなると編集してくれるマネージャーさんにデータを渡すにしても明日以降になっちゃいますし」
「まぁ、
「うぅ、だれも一緒に怖がってくれる味方がいない……」
ひとり憂鬱そうにしている茜とは別に、スカーレットの他3人はまったく怖がっている様子がない。むしろ気軽な感じでダンジョンへとさっさと入っていってしまう。
「ちょっと待ってーーー!置いてかないでよぉ!!」
肩を落としていた間にさっさと他のメンバーがダンジョンの中へと進んでいったことに気がついた茜は、そう叫びながら彼女たちを追いかけていったのだった。
「ハル、おりん、準備はだいじょうぶ?」
「アカネさん、こちらはいつでもだいじょうぶです!」
「アカネちゃん、あたしもいつでもオーケーだよー!」
八王子城跡地ダンジョンの通路でレイスやゴーストといった幽体型モンスターの群れに通路で出くわし、モンスターたちに半包囲された中で隊列の先頭を進むハルとレイスたちが対峙している。そのハルから少し下がった場所には剣をしっかり構えたアカネと、ボール状のアイテムを手にしたおりんの姿があった。さらにその少し後ろには後方からのバックアタックを警戒しているちづりんの姿がある。
「じゃあ、作戦通り、ハルがスキルを使ったらカウント開始!うち漏らしが出た場合は私がカバー!さらにそれでもダメな場合はちづりんとおりんでフォローしてね!!」
「りょうかいっ」
「はいっ」
アカネの確認におりんとちづりんが了承の声を上げる。
それを確認してアカネがハルに頷いてみせた。
「じゃあ、いきます――<
そして、ハルがモンスターたちに対してスキルを発動させる。それにより威圧が若干混じった黒い魔力の波動がハルを中心として周囲に吹き荒れていった。
<オォォォォォォォォ―――>
それまでハルと一定の距離を取り、隙ができるのを伺っていた様子のレイスやゴーストたちが、その黒い魔力の波動を浴びると目の色を真っ赤に変え、一斉にハルに向かって突撃する。それはまるで角砂糖に群がる蟻の群れのようだった。
「3…2…1……いっけーーーー!」
その幽体系モンスターが集っているハルの直上に向けてカウントダウンをしていたおりんがタイミングを見計らって手に持っていたボール状のアイテムを投げ上げる。それは狙い違わずハルの直上へとたどり着き……ボンッ、という音とともに破裂してキラキラと光る粉末状のものが混じった煙をその真下、一定の範囲に対して降り注がせた。その粉末状のものが混じった煙には強力な聖属性の効果があるのだろう。直後、その煙や粉末を浴びたレイスやゴーストが<ォォォォォ―――>とうめき声を残して空間に溶けるように消えていく。
「ごめん、2体ミスちゃってる!」
けれど、すべての幽体型モンスターがそれで消滅したわけではない。レイスとゴースト、それぞれが1体ずつギリギリの距離でアイテムの効果範囲外に居たらしく、消滅を免れていた。そのレイスとゴーストのヘイトはタウントを使ったハルからアイテムを使って同胞たちを消滅させたおりんに向いてしまったらしく、方向転換をするとそれぞれ別の方角からおりんに向かって襲い掛かってくる。
「だいじょうぶ、こういう場合のための私と――」「わたし、ですから!」
だが、その2体それぞれに対し、アカネとちづりんが対応に向かう。
アカネは手にした剣に炎をまとわせて向かってきたレイスを両断し、ちづりんは聖属性の魔術、
「ハル、だいじょうぶ!?」
周囲にモンスターの生き残りがいなくなったことを目早く確認した後、アカネがモンスターたちに集られていたハルの状態を気にして確認の声をかける。それに対し、ハルは防御姿勢を崩して「はい、だいじょうぶですよ」と常と変わらぬ声音で返事を返してくれた。そのハルのいつもと変わらぬ声音と無事な様子に、アカネたちはホッと胸をなでおろす。
「このアルトリア社の新作装備、すごいですねー。幽体系モンスターからの攻撃をあの数相手でも物理攻撃と同じように変換してちゃんと防御することができました」
「上の階層でゴースト1体相手にできてたから大丈夫だとは思ってたけど……あの集られてる光景はちょっと心臓に悪かったわ」
「けど、無事ですからねー。この『
それにおりんちゃんの方の『聖滅☆ソルティックボム』の方もちゃんと効果を発して一気に倒すことができたみたいですよね」
「メーカーのネーミングセンスがどっちもちょっと微妙な気もするけど、ほんとあっちもそっちも性能がすごかったわね。あとは『聖滅☆ソルティックボム』の効果範囲がもうちょっと広いと倒し残しがでなくていいんだろうけど、これは要望しすぎかしら?」
「んー、投げるには今の大きさの方が投げやすいから、そこはしょうがないんじゃないかなぁ。それに範囲をってことなら複数個投げたらいいだけだし」
「一応、メーカーさんには試用レポートでの要望として提出はしておきますね。ただ、1個あたりの値段がそんなにしないのであれば、おりんちゃんが言ったように複数個使えばいいだけですから、アルトリア社の売り上げ伸ばす意味でも通らない気がしますが」
「とはいえ、勝利おめでとー!
さて、後で編集してもらうときはハルちゃんの装備の感想あたりまで一度カットかな」
そのおりんの言葉に全員で苦笑する。たしかに紹介案件動画としては商品名などについてのメーカー側のセンスうんぬんの部分はカットせざるを得ないことだろう。
「さて、じゃあ気を取り直して、ゴールまであともう少しだしがんばりましょうか!」
そうアカネが気合を入れなおす。そんなアカネのそそそ、と近寄ったおりんがボソッと質問する。
「で、その心は?」
「そんなの早くこんな場所から出たいからに決まってるじゃない!」
アカネは、ぷるぷると微妙に震えていることを強気な振りして隠していただけであった。
ゴールと予定していた地点まであと少しとなったダンジョンの回廊を、アカネたちは慎重に進んでいく。薄暗闇で通路となっている石畳の両脇には半ばで折れた卒塔婆や文字の部分が削れて読めない墓石や鳥居が壁のように無数に立ち並び、さらに奥をその隙間から覗いてみても暗く厚く立ち並ぶ森の木々で見通すことができない。しかもそれらの墓石や鳥居による壁と立ち並ぶ木々や茂みの距離は近い上に茂みが高いために通路の角となっている場所の先の見通しはほとんど立たない状態となってしまっている。
そのためアカネたちは自然と石畳の上を誘導されるように歩いていくしかなかった。もっとも、逆にいうとそういう環境であるからこそ、警戒する必要があるのは前方と後方だけで済んでいる。左右からは墓石など自体が急にゴーレムとして襲い掛かってでもこなければ不意打ちをされる心配はいらないだろう。
そうして迷路のような墓地の通路を何度も折曲がり……ゴール地点まであと3回ほど曲がれば着くとなったところで、最初にスカウト役であるおりんが異変に気がついた。
「しっ……うん、やっぱり聞こえる……」
アカネたちに警戒の合図を出してからジッと周辺の様子を伺っていたおりんが、真剣な顔をしてそんなことを呟いた。いつもはふざけていたり突拍子もないことを言ったりイタズラをしかけてくることが多かったりするおりんではあるが、ダンジョン探索中は他の誰よりも実は慎重であったりして、この手のイタズラをしかけてきたりはしないおりんがそう言って仲間たちに警戒を促してきているのである。アカネたちは即座に臨戦態勢を取ってりんねの次の行動を見守ることにした。
「声は……曲がり角の向こう、少し離れた先から、っぽい?」
耳をそばだててそう状況を確認したりんねは、少し考えこんだ後、アカネたちに向けて
「まずは自分一人で偵察してくる」
とハンドサインで告げてくる。これにアカネたちも同様に決めておいたハンドサインで了承の意を示すと、一度頷いてからりんねは慎重に先にある通路の曲がり角まで足音を消して移動した。
そして、そっと曲がり角からその通路の先へと視線を向けたりんねが、何か意外なものでも見たかのように目を大きく見開いて動きを固めてしまう。いや、それだけではなかった。すぐにフラっと身体を揺らして無防備にも曲がり角の向こうへと身を晒してしまうではないか。
そんな普段の探索ではありえない行動をしたりんねの姿に、アカネは思わず眉を寄せ、すぐ傍にいる春香と視線を向ける。すると春香の方も同じ不安を抱いていたのか、彼女も同時にアカネへと視線を向けてきていた。
茜と春香は共にこくりと頷くと、りんねの様子を慎重に伺いながら彼女へと近寄ってみる。それに釣られるように少し後ろからは千鶴も付いてきていた。やがて春香、茜、千鶴の順に縦に並んで陣形を作り、最初に春香がりんねの側まで辿り着く。そんな春香にりんねはハァ、とため息を吐きだすと、スッと曲がり角の奥を指差した。春香が一度、チラッと茜に視線を向けてきたので、それに茜が頷き返すと、春香はそぉっとりんねと同じように通路の奥へと視線を向け――ぽかん、と彼女にしてはめずらしく口を半開きにしてこちらも動きを停めてしまった。
その後、数秒して春香は意識を取り戻したかと思うと、大楯を持っていない方の手で頭痛を抑えるかのように頭に手を当てる。
そんな二人の姿にさらに警戒心を高める茜ではあったが、茜と千鶴のそんな姿を目にしたりんねと春香が手招きしてこちらに来るようにと促してきた。
そのため、ちらりと千鶴と視線を交わして互いに覚悟を決めてから、茜と千鶴は春香たちの居る曲がり角へとゆっくりと歩み寄る。そして手が届く距離になっても春香もりんねも特に豹変して攻撃してくる様子がなかったことにホッと胸をなでおろしてから、彼女たちに促されるままに曲がり角の先へと視線を向けた茜は――絶句してしまう。なぜならその視線の先には……
「歓迎、スカーレット!」「ごーるおめでとう、アカネさん!」
と書かれた幟が、煌々と銀色に光る玉の下で地面に対し立てかけられており、その光の中央では、ふんふふふーん♪と、なにやら鼻歌らしきものを歌いながら大鍋で料理をしている真っ最中の様子の優奈の姿があったからだ。
「……は? 優奈ちゃん??」
そんな思ってもみなかった光景に、茜は思わず呆然としてそう呟いてしまう。
いや、そりゃこんなんいきなり見たらりんねも春香も固まっちゃうよねぇ、と茜は半分思考放棄しかけてしまいかねながら思ってしまったのだった。
しかも幟だけではない。煌々と光る玉の下、優奈が料理をしているというだけでなく、その辺り一帯がまるでパーティー会場であるかのように輪飾りや明るい目の花で空間が飾られていたり、テーブルや机がその奥側にセットされていたりしたのだ。
(なにこれ、ダンジョンの罠……?
え、でもこんなの聞いたことないよね……じゃあ本物??
いや、でもナンデ? ナンデコンナ??)
思わずパニックに陥りそうになってしまう。けれどそんな茜の服の裾をりんねがくいくいっと引っ張ったことで気が落ち着いた。
「あ、うん。だいじょうぶ……だいじょうぶなんだけど、ナニアレ?」
「いや、あたしの方こそ聞きたいところなんだけど……?」
思わず、りんねと互いの目をジッと見つめ合い、互いに別に幻覚に掛けられているだとか頭がおかしくなったわけじゃない、ということを確認しあう。
「とりあえず……警戒しながらでも近づいてみる?」
そのりんねの言葉に、茜だけではなく春香も千鶴も頷いてくれる。
そのため、りんねを先頭にして茜たちはフォーメーションを組んで先へと歩を進める。そうすると優奈の側も茜たちに気がついたのか、手を振って、朗らかに彼女たちのことを歓迎してくれたのだった。
「ええっと……ホントに本物の優奈ちゃん?」
恐る恐るとおりんが尋ねてみると、優奈はきょとんとした顔で「え、はい。そうですよ?」と目をぱちくりとさせた。
「えぇー……なんで、優奈ちゃんがここに居て、こんなことをしてんの……?」
「え。あぁ、そのことですか?
あー、昨日の夜にアカネさんから今日の皆さんの撮影のことについてのことで電話がありまして。
それで話を聞いてるとアカネさん、どうもこういうダンジョンとかアンデッド系のモンスターのことが苦手みたいじゃないですか。なので、サプライズでこういうことして楽しい感じでビックリさせてあげれば、アカネさんが今後はその思い出で怖くなくなるんじゃないかなー、って思って内緒で企画してみました!」
どやぁ!と優奈が胸を張ってそうおりんからの問に答える。
「ちょっとしたこともあったので、皆さんの分のねぎらうためのお料理を作りなおしてたから、できあがるのがあともうあとちょっとなんですよねー。すぐに完成しますから、あっちに作ったテーブルのあたりで座って待っててもらってもいいですか?」
さらにはそう言って少し離れた場所にあるテーブルを優奈が指し示す。そこにはパンやサラダと1.5リットルのペットボトル入りのジュースがコップやスプーンなどの食器類とともに既に配膳されていた。
「もうあとちょっとだけ煮込んだら、このシチューも出来上がりますのでー」
ぽわぽわと微笑んでそう言ってくる優奈に、「この子は……」とスカーレットの面々は頭が痛くなりそうになる。
「いや、あのさ……さすがにここで食事とか危険だし場所の雰囲気も悪くない?
それに優奈ちゃんのシールドがあるって言っても、ゴースト系だと相手のシールド貫通する精神攻撃してくるのもいるし……」
そう。ゾンビとかグールとかスケルトン相手なら、優奈の桁外れなシールドで十二分に安全を確保できるだろうし、距離も広くシールドを張れば臭いとかもだいじょうぶだろうが、幽霊系モンスターであるゴーストやレイスの中には物理攻撃ではなく精神攻撃を仕掛けてくるものも稀にいる。そういうモンスター相手にはシールドでは対応しきれないだろう。この階のセーフゾーンはもっと先のはずだし。
なので、ここでのんびりすることは危険だろうと思ったアカネが優奈にそう問いかけると、優奈は
「ふっふっふっ、だいじょーぶですよ!」
と胸を張って自信ありげにそう答えた。そして、ぴっ、と頭上にある銀色の優しい光を周囲に放つ光球を指さすと、
「アレがあるので、ゴーストやレイス、ゾンビだとかのアンデッド系モンスターはこの光の範囲内には入ってはこれません!」
と、断言してみせた。
「え、どういうこと?」
「えっとですねー。アレはライトの魔法をベースにしてるんですが、まずそこはわかりますか?」
「え、えぇ。たしかに言われてみれば光の属性魔術の初級のライトと同じ……感じですよね。ライトの魔術の光は黄色っぽいやつのはずですから、色が違いますけど、ベースということは何かが違うということですか?」
「はい、そうなんです!」
そう言って優奈が説明してくれた次の言葉に、魔術についてはほとんどよく理解していないおりんもが絶句してしまう。
「あのライトには聖属性を付与してあるんです。
なので、あの光の下にアンデッド系モンスターが接触したり這入ってきたら、すぐにそのアンデッド系モンスターは光に溶かされて消えちゃいますから、ここは安全安心なんですよー」
「「「「 は???? 」」」」
「ダンジョンが生み出すアンデッド系モンスターは聖属性に極端に弱いですからねー。
「えええええ……それって聖属性魔術のホーリーライトじゃ……」
「あー、違いますね。ホーリーライトは高威力ですけど中級魔術ですから使えないですし、あっちはそもそもフラッシュ!って感じの一瞬ですからねー。こっちは元がライトの魔術だから持続時間が軽く3~4時間は保ちますので、実はこういうのの方が便利だったりするんですよねー」
消費魔力的にも経済的なんですよ!と優奈が胸を張る。
一方、ちょっと疑問に思ったことがあったおりんは、スカーレットのパーティーの中で最も魔術に詳しいちづりんの服をくいくい、と引っ張ってから、こそっと質問を投げかけてみた。
「……ちづりん、ちょっと質問なんだけどさ……そもそも、魔術に魔術って付与できるもんなの?」
「…………やったことがないからやれるかどうかわかりません。というか、そもそもそんなことができるっていうこと自体がわたしも初耳なんですけど」
「……これ、もしかして大発見の未知の技術だったりするんじゃないの?」
「……もし知られてなかったとしたら、また優奈ちゃんが騒がれますよね」
「「…………配信じゃなくて良かったッ……!!」」
なんだか胃が痛くなってきた感じがしたおりんとちづりんの二人であった。
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