第10話
ゆみこは今日もまた、テレポートの訓練を続けていた。部屋からお風呂場への移動は慣れてきたものの、問題は服を一緒にテレポートさせることだった。失敗すると、服を置き去りにして裸で移動してしまう。それは、ゆみこにとってはまだまだ課題だ。
今日の訓練では、もしお風呂場にテレポートした際に服が残ってしまった場合、再び服のある場所に「自分をテレポートして服の中に現れる」ことを試みる。
「よし、やってみよう…」
彼女はまず、お風呂場へのテレポートを行った。案の定、体は瞬時に移動できたものの、服は部屋に置き去りになった。
「やっぱりまだダメか…」
しかし今回は慌てない。次のステップが訓練の重要な部分だからだ。今度は、服そのものの中に自分をテレポートさせることに挑戦する。
「服の中に…そのままテレポート!」
彼女は目を閉じ、部屋に置かれている洋服を頭の中でしっかりとイメージした。その服の触感や、肌に触れる感覚をできるだけ具体的に思い描き、集中を高める。そして一瞬の静寂の後、ゆみこの体が再び瞬時に移動した。
次に目を開けたとき、彼女は自分の部屋に戻っていた。そして驚くべきことに、ベッドに置いてあったはずの洋服がすでに彼女の体にぴったりと着られている。
「できた!服の中にテレポートできた!」
成功した感覚に満足感を覚え、彼女は小さく笑った。これで、一歩前進した気がする。テレポート能力を完全にコントロールするためには、まだ訓練が必要だが、少しずつ進歩していることが実感できたのだった。
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