第9話

次の訓練として、ゆみこは再び鏡の前で自分を見つめた。今度は、まず自分をお風呂場にテレポートさせ、その後、もし服がまた部屋に残った場合は、その服をお風呂場にいる自分の体に戻すという複雑なプロセスを試みることにした。


「お風呂場なら裸でも大丈夫…でも、できれば服も一緒にテレポートしたいんだよね。」


ゆみこは深呼吸し、集中を高めた。これまでの訓練では、服だけを別の場所にテレポートすることや、自分だけを瞬間移動させることはできたが、その両方を一度に完璧に成功させたことはまだなかった。


「じゃあ、いくよ…今!」


一瞬で、彼女の体はお風呂場にテレポートされた。だが、冷たい空気が彼女の肌を包む。案の定、服は部屋に残ったままだった。


「やっぱり、うまくいかないか…」


ゆみこは小さくため息をつきつつも、次のステップに移る。お風呂場にいる彼女の体に、部屋に残された服をテレポートさせなければならない。彼女は部屋に置き去りになったTシャツとズボンに意識を集中し、その服を自分の体に瞬時に移動させるイメージを描いた。


「戻ってきて…!」


一瞬の静寂の後、彼女は服が少しずつ自分の体に戻ってくる感覚を感じた。冷たい空気に包まれていた体が、再び服に包まれる。


「できた…!」


服は完璧に彼女の体にテレポートされ、先ほどの冷たい感覚はすっかり消えていた。成功に少しほっとしながらも、まだ改善の余地があることをゆみこは感じていた。自分自身と服を一度にテレポートする訓練は、まだ完全にはマスターできていないが、この過程で彼女は確実に成長していた。


「次は一度で全部一緒にテレポートできるように頑張ろう…!」


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