第8話

服をお風呂場にテレポートさせ、瞬時に戻す訓練


ゆみこは、鏡の前で再び立ち止まった。次の挑戦は、今着ているすべての服をお風呂場にテレポートさせ、瞬時に自分の体に戻すというものだ。これまでの訓練で、少しずつテレポートの感覚を掴んできた彼女だったが、今回はスピードと正確さが求められる。


「全部の服をお風呂場に飛ばして、その瞬間に戻す。できるかな…?」


彼女は自分に問いかけながらも、心の中では強い決意を感じていた。深呼吸をし、集中を高める。目を閉じ、服に意識を集中する。Tシャツ、ズボン、下着…すべてをお風呂場に瞬時に送り込むイメージを描いた。


「いくよ…今!」


瞬間、ゆみこの体が一気に冷たく感じた。服が一斉にお風呂場へとテレポートされたのだ。しかし、彼女はその冷たい感触をほとんど感じる間もなく、すぐに服を自分の体に戻すように念じた。


「戻ってきて!」


ほんの一瞬の出来事。服が消えたその瞬間、また彼女の体に戻ってきた。目を開けると、自分の姿は元通り。すべての服がきちんと元の位置に戻っていた。


「できた…!」


その瞬間、ゆみこは驚きと喜びで胸がいっぱいになった。テレポートさせるタイミングと戻すタイミングをほぼ同時に行うという、まさに早業。訓練の成果が現れた瞬間だった。


彼女は大きく息をつきながら、自信を深めた。これで、着ている服をテレポートさせる能力も、ますますコントロールできるようになったという手応えがあった。


「もう少しで完璧にできるようになるかも!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る