第2話 一緒に登校しよう

朝、久しぶりに早起きして、公園で人と待ち合わせた。初めは、嘘告白の仕返しを出来るとテンションが上がったが。

「……」

なんかめんどくさくなって来た。


「……佐藤君が一緒に行こうって言ったよね。何で眠そうなの、失礼じゃない?私早起きしていろいろ準備したんだけど。」


朝から斎藤さんはバチバチに決まっていた。大変そうだなと率直に思った。

「いや、そうなんですけど、なんか急にめんどくさくなったっていうか」


「……」

めっちゃ睨まれた、そりゃそうか。


「冷静に考えたら、どちらも好きでないのに嫌がらせのために付き合うって嫌だなって」


「……君がそれを言わないで。それに、私、言っちゃったよ。『嘘とかやっぱり良くないから、ちゃんと付き合う』って友達に。」


「それ言うぐらいなら最初から嘘告白とかするなよ。」

考える前に言葉が出ていた。


「……それは、そうだけど、でもそのさ、内輪乗りで断れないときあるじゃん。分かる?」


「分からないですけど。それに、僕真面目ではなくても、不真面目ではないんですよ。僕のイメージ下がるかなって」

僕には内輪も外輪もないけど、先生の目はある。


「……ああ、これ染めてないよ。地毛だよ。私クオーターだから、酷くない。偏見」


……マジで、それは、なんかその申し訳ない。

「……あっ、ああ、それはごめんなさい」

流石に少しその点は反省した。


「……それは謝るのね。」


「……まあ」


「じゃあ、お互いさまって事で良いよ、佐藤君。」

彼女は、そう言って笑っていた。


「いや、そうはなりませんよ。嘘告白の方が罪は重いですから」


「……それは、まあおっしゃる通りよ。で、何で?朝わざわざ一緒に登校するの?これ嫌がらせになるの?」


「うん?いや、僕と歩けば君の評判下がるかなって」


「だとしたら無駄だち思うわよ、上がりも、下がりもしないと思うの。」


「うん?」

そうなの?


「だって君は、なんかいい塩梅の位置じゃん。それに怒らなさそうだから、わざわざ嘘告白の相手に選んだし。そっちは違ったけど」

ああ、まあそうだな、なんかうん、なるほどな。可もなく不可もなく、まああり得ない事もないんじゃない的な感じか。なるほど。


「……じゃあ、これは嫌がらせの効果はなしな感じですか?」


「ええ、それが分かったら動画は消してください。佐藤君」


「……」


「……」


「……それは、嫌です。ちゃんとネガティブキャンペーン出来てないので」

絶対に嘘告白してきたことに対する仕返しをしたい。


「性格悪い」


「誰が言ってるんですか?」


「……違うの、私、本当は性格悪くないし。女の子にはいろいろあるんだよ。」


「……今、性格悪い自覚はあるんですね。」

意外と会話が楽しかったのはまあ、黙っておこうと思う。

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嘘告白をして来たクラスメイトの美少女の告白場面を撮影したので,嫌がらせとして付き合うことにした 岡 あこ @dennki

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