嘘告白をして来たクラスメイトの美少女の告白場面を撮影したので,嫌がらせとして付き合うことにした
岡 あこ
第1話 プロローグ
最悪の出会いからまあ、相手を好きなるって事もあるだろう。
あれは、高校2年生の5月の事であった。
告白とは学生の一大イベントである。だからこそ、それを嘘で茶化す人間の品性は疑わざる負えない。
放課後一人で教室にいる時だった。一人の生徒が教室に入ってきた。彼女は教室に入った瞬間に声をあげた。
「付き合って」
その言葉が嘘であることぐらいすぐに分かった。いや、なるほどでも考えたと思う。クラスで目立たない、カースト上位でも下位でもない、カーストに存在すらしていない僕を嘘告白相手に選ぶとは。
驚きで持っていた携帯を落としかけた。
嫌そうな顔で、クラスで1番か2番の美少女の斎藤 舞が放課後告白してきた。スタイルが良く、髪をおそらく金色に染めていた、綺麗な顔をしているが、僕はあまり好きになれなかった。しかし、何の罰ゲームだろうか?普通に断るだろう、こんな罠……いや、これは違うな。これでは、僕が損するだけではないか。
「すいません、よく聞こえませんでした?誰に話しかけましたか。表情が強張ってますけど、大丈夫ですか?」
バレないように、カメラを起動して、指でスライドしてボタンを押した。
「……」
「……」
しばらく、時計の音が響き渡り、息を吸った斎藤 舞は、表情を変えて、少しの笑顔で、祈るようなポーズをしたので、携帯をさりげなく彼女に向けた。
「佐藤君、付き合ってください。」
そう言葉にした。予定通りだ。
「分かりました。」
そう言ってから、携帯のボタンを押した。後で要らない部分は編集しよう。
「……そんなわけないでしょ。ごめんなさいね、仕方ないの、こうしないと行けない約束だったからね。大丈夫、流石に笑ったりはしないようにお願いするから。」
ああ、やっぱりね。まあ、最低だな、なら良いか。
「その必要はありません。」
「……えっ」
「付き合ってもらうので」
斎藤さんに笑いかけてから、スマホの動画を再生した。
『佐藤君、付き合ってください。』
その音声が教室に響いた。
「えっ、何で?」
「消しませんよ。」
よく考えたら、この状況で一番嫌なのは、付き合って別れられない状況だ。ああ、ざまあ、まあしばらく、この嫌がらせをすれば、彼女も反省するだろうし、僕も楽しい。
「最低、脅すんですか」
目を見開き、斎藤 舞は叫んだ。
「どの口が言ってるの?」
最低なのはそっちも同じだろう。
「……何が目的なんですか?もしかして、わ、私のこと本当に好きなんですか?」
「いや、違いますよ。シンプルにムカついたので嫌がらせしたいと思っただけですよ。まあ、そのうち辞めると思いますよ。」
「えっ?」
「はは、自分の発言でしばらく苦しめば良いと思うよ。あっ、連絡先交換しましょ」
「……」
彼女は無言で連絡先を差し出してきた。
「ははは、ああ、ウケる」
少し楽しい気持ちになっていた。
「…。」
「宜しくお願いします。ああ、えっと?マイハニーとか呼んだほうが良いですか?」
「……それだけは、やめて、」
「では、さようなら」
笑いながら僕は教室を出た。
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