第4話 あの凶悪さが再現できないので


 最近マジで普段から二人にハニートラップ受けてるのに夢の中でもこんなんばっかり。ちょっともう昔とは違うんだからね?


 成長した身体で昔と同じように、いや昔以上に接されてる僕の身にもなってほしい。それだけ魅力的になってるって事を自覚してくれないかな。昔と変わらぬ愛情を見せてくれるのは嬉しいし、素敵に成長した君達を見て嬉しいけれども……嬉しいんだけれども!


 お兄ちゃんだって男なのだよ。気持ちとは関係ない所でリビドーが高まったら恥ずかしいじゃないか。しかもそうなったらそうなったで、僕の醜態を見てガンガンツッコんで楽しんでるしさ。お兄ちゃん恥ずかしい。


 実家にいた頃はそんなじゃなかったのに。僕が高校に上がってから二人が泊まりに来た時に、たま~に見るようになったんだよな。それで二人の顔を見れなくなっちゃって。


 中学生、しかも妹分の二人を相手に何て恥ずかしい夢を!


 でも、今でもたまに抵抗したりするけれども添い寝はしている。せざるを得ないのだ。最初の時は焦って、次に二人が泊りに来た時に『ベッドは別々、一緒に寝ません!』宣言したまでは良かったんだけど……泣くんだもの。


 片や、『ううー、ううーっ』て泣くほのかに袖を掴まれ、見上げられ。片や、大粒の涙を流しながら無言で僕を見つめる葛。


 無理でした。お兄ちゃん惨敗。あまりにも悲しそうに泣くから、僕も泣いて謝ったもの。


 そうなんだよな、結局。僕が自制心を持っていればいいだけの話なんだから。二人を泣かすくらいなら、僕が強い心を持てばいいだけだ。


 まあ精神鍛錬の為に葛の拳法の稽古とほのかの剣道の稽古に付き合って、しっちゃかめっちゃかな目にあったのは笑い話だな……。


「優ちゃん、妄想終わった?」

「ひい」


 耳元で囁くのやめて、ゾクゾクしちゃうからぁ!


「さて、準備は整いました」


 何か腰から上半身迄の密着感が半端じゃない……あれ、真っ暗? どういう事?!


「い・ま・か・ら。ほのかだけにいい思いをさせた優ちゃんにオシオキをするとしましょう。お覚悟ごごっ!」

「ギャグなのか何なのかよくわかんないよ?!」

「ほのかと同じ罰ゲームおっぱいパン当てを行うには、ほんのちょっと。そう、ほんのちょっとだけえ!!! ……あの凶悪さが再現できないので趣向を変えます」

「何で絶叫したの?!」


 葛、ほのかにコンプレックスがあるみたいなんだよな。でもちらっと見た感じ、葛も十分なくらいだと思うんだけど……それに今のままでも葛は驚くほど魅力的なのにね。


「このゲームで答えを間違える度に、オシオキを一つ追加します」

「ち、ちなみに……質問はいくつ?」

「……2024個よ」

「それ、思い付きだろ!」

「CE70個ね」

「著作権に引っかかるからやめてえ!」

「優ちゃんの種子が弾け飛ぶまで」

「種じゃなくて種子?!」


 まさかこの夢、エロ系じゃなくてホラー展開?!


「葛、ほのかの事は誤解だってば! いくら夢の中でも痛いのは勘弁して!」

「あら、やるならいつもみた……おっほんえっほん。気持ちいい事してあげるのに。それに夢だから大丈夫よ、夢だから。YU・ME☆夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢……」

「何でそこだけ気合い入れて強調するの?!」


 耳元で囁く葛の息が熱い。

 葛、絶対楽しんでるだろ!

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