第2話 こんにちは、有本優也です。

 こんにちは、有本優也です。


 僕は今、人生三回目のまな板の上の鯉状態になるのを回避すべく、妹分の夕凪かずらさんと、プロレスで言う、いわゆる『手四つ』の状態で攻防を繰り広げております。


 どうやら僕は葛さんのお怒りに触れてしまったようです。そして床には色とりどりのタオルや目隠し、手錠っぽいものが確認できます。この後の展開を予想した僕は人生三度目のまな板の上の鯉を回避すべく奮闘しています。


 以上、現場からの中継でした。


 ……あれ? 何でこうなった? これは絶対オシオキに持っていかれる流れじゃないか! しかもオモチャの手錠まで準備するって、拘束する気満々すぎるだろ!


「ちょっと葛、落ち着いて。まずは話し合おうではありませんか。もしかしてほのかのてんこ盛りマシマシな話で怒ってる?」

「ごごごっ!」

「いや、お怒りなのはわかったから!」


 いたたた! 葛、結構力が強くなってないか?! たゆまぬ努力で拳法を頑張ってるのは感心だけど、ここで成果を発揮されても困る!


「何よ……っ! ほのかとはいちゃいちゃラブラブちゅっちゅぺろぺろじゅっぽじゅっぽずんずんぴゅるっぽぴゅるっぽできても、私とはできないっていうのっ?」

「オノマトペがえげつない! それに誤解だってば! あれは僕の……そう、僕が見ちゃった夢の話だし、そもそも僕が拘束される事のどこにいちゃラブの要素が?!」

「……?」

「何でそんな事聞くの? みたいな顔されても!」

「いいから神妙にお縄につきなさいよ!」

「僕は下手人か!」


 ほのかの訳の分からん罰ゲームおっぱいパン当てゲームを知った葛まで、最近罰ゲームの流れに便乗してくるようになったのはツラい。夏休みに入って前以上に二人が僕の部屋に入り浸るようになってからはハニーなトラップを常時かけられている気がして仕方がない。


 そんな環境からか、最近エロい夢を見る事が増えたんだよなあ。しかも夢に出てくるのはほのかと葛ばっかり。二人が一緒に泊りに来た時なんてセットで出てくるんだぜ? 朝起きて下着に悲しい染みがないかどうかトイレに駆け込んでチェックする毎日は切ない。


 まあ……その夢を見るとそっち系の衝動性欲が解消した感じがしてスッキリするから良し悪しなのかもしれないけども、密着感が半端ない添い寝は止めてほしい。


 でも二人用のベッドを提案したら断固拒否されたしなあ。二人にはどうしても甘くなっちゃう僕もいけないんだけれどもさ。昔からそうだけど嬉しそうにベッドに潜り込んでくる二人を見ると僕も嬉しいし、二人と一緒に寄り添って寝ると幸せなんだよね。


「ちなみに聞くけど……僕がお縄についたら何が始まるのか教えてもらっても?」

「こしゅこしゅしてにゅるっぽにゅるっぽぐっちょんぐっちょんばっしんばっしんのぴゅるっぽぴゅるっぽごっくんに決まってるでしょ?」

衛生兵メディック! それと、誰か通訳を!」

「あら何よ。私が訳してあげるわよ」

「…………オノマトペの意味を聞いても?」

「いかがわしい行為の音よ」

「言い切った?!」


 家族同然の葛とそんな事できるかあ!


「夢、夢! あくまでも夢の話! そんでいやらしい夢を見てごめんなさい! 現実で葛やほのかとそんな事したら洒落にならないってば」

「あら、夢だろうと現実だろうと私は構わないわよ?」

「か・ま・い・ま・す! それに近いってば!」


 めちゃめちゃいい匂いがする。ヤバいくらいの美少女妹分に超接近されて、いかがわしい事を容認されるってどんなラノベだよ。お兄ちゃんをからかい過ぎですよ、君達は!

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