【マ猫えけん(笑)】幼なじみはオシオキがしたい ~幼なじみが僕に仕掛ける、ちょっとエッチで不思議な罰ゲーム/葛の場合~

マクスウェルの仔猫

第1話 葛、襲来 

 ふう、着いた。

 ああ……今日も外、暑かったなあ。


 汗で張りついたシャツが気持ち悪い。冷たい水を飲んでシャワーを浴びてひと息つきたいところなんだけど、めっちゃデジャヴすぎて部屋の前で立ち止まってしまう。


 昨日のほのか大変だった、ほのか無双だ。一緒にシャワー浴びたかったとかチュウやハグをおねだりするとか、もう立派な大人に手が届いてる君にそれをやられるとお兄ちゃんは大変なんだよ? 最近ほのかや葛が出てくるエロい夢を見る事が多くなったし。


 昨日だっていつの間にか寝ちゃってたらしいからどこから夢なのかわからんけど、ほのかに『またえっちい夢見たんでしょ☆』とか散々からかわれるしさ。ヤバいだろ、妹分とのいちゃラブを夢に見るなんてさ。


 だけど昨日の事だけは弁解させてほしい。最近エロ動画ツアー、ほのかと葛のせいでご無沙汰だったんです。そのせいかもしれないけど夢の中ですっごく気持ちよかったんだもん!


 何だったんだろうあの感触……! 目隠しされてたからわからないけど、あれが営み、もしくはご奉仕というものなのかっ! ……まあ年齢=彼女いない歴の僕が思い描いた妄想なのはわかってるよ、クスン。


「優ちゃん? 暑いから早く入りなさいよ」


 でも起きた瞬間に下着を確認してしまったほどに気持ちよかったんだよな。生命の神秘とも言える染みができているんじゃないかと焦ったが大丈夫だった。あんなに気持ちよかったのにセーフだったらしい。これぞ、摩訶不染み。何だそりゃ。


 でも夏休みに入って前以上にほのかと葛が僕の部屋に顔を出すようになってから、二人の距離感がヤバい。まるでハニートラップでも仕掛けているんじゃないかって思うくらいだ。


 薄着でウロウロゴロゴロするわ、常に密着してくるわ、お泊りの添い寝は当たり前だわ僕の入浴中に突撃かますわ……いや君達ホントに彼氏ができてからそれをやんなさいってば。昨日怒られたから口には出さんけれどもさ?


 二人に軽蔑されるような事は絶対にしたくない。例えメッキでも、僕はいつまでもいいお兄ちゃんでいたい。だから家族同然の妹分に手を出さない自信はある、あるけども。美少女二人の乙女パワーがヤバすぎる。お兄ちゃんだって男なんだからねっ! せめて動画を見るお時間を頂けませんか?


「また妄想してる。しょうがないわね、こら」

「いったあ?! あ、あれ? 葛?」


 葛にデコピンをされた。


「モニターから丸見えだったわよ。熱中症になったらどうするの? 早くお入りなさいな」

「あ、ああ。ごめん」

「冷たいタオル用意してあるから」


 呆れ顔の葛に腕を引っ張られて部屋に入る。


 これが葛のいい所だ。掛け値なしの美少女で、高嶺の花のように近寄りがたい程の雰囲気を持つ葛だけれど、実際はそんな事は全然ない。家族や僕の事を常に気にかけてくれているし、大切な事は絶対に見逃さない。


 昔とは見た目や言葉遣いが変わったけれど、本質は何も変わっていない。お兄ちゃんは鼻高々ですよ、葛さん。



「ふう……さっぱりした」


 シャワーを浴びて、すっきりした! 珍しく葛が突撃してこなかったが、それが普通なんだよな。……用意されたようなボケとツッコミができなかったからって断じて寂しいわけではない、うん。


「こっち来て、ドライヤーで乾かしてあげるから」

「え? まだ湿ってる?」

「もう。全然乾いてないわよ」

「いいよいいよ、自分でできるから」

「ほら、は・や・く!」

「あ、はい」


 何かこういうの照れくさいな。世話を焼いてくれる妹分に甘えるお兄ちゃん……うわ、ラノベみたい。でも僕は本当に幸せ者だ。


 ほのかも『オシオキおっぱいパン』辺りから羽目を外してはいるけれど、僕を大事にしてくれる姿勢は葛と全く変わらない。


 ほのか、頼む。他の事で文句なんか一個もない最高の妹分よ。お兄ちゃんで遊ぶのだけはもうやめて。


「優ちゃん、今度はこっち向いて」

「はいはい」


 葛の声と優しい手つきに身を任せながら、幸せを噛み締める。


「はい、できた。サラサラでしょう?」

「サンキュ。葛はいい奥さんになるな」

「……ばか」

「いたたた?!」


 二の腕をつねられた。

 

「……さて。まったりと落ち着いた所で」

「うん?」

「優ちゃん、私に言う事があるんじゃない?」

「え?」


 うわ、これ……答えに悩むヤツだ。望む答えと違う事を言ってどんどん不機嫌にさせたり新たな火種をいて修羅場になったりとか。あれ、僕……知らないうちに何をやらかした?!


「え、えと……葛?」

「しらばっくれるつもり? 夢の中でほのかの肉の塊を揉みしだいたりほのかの三つのお豆をしゃぶりつくしたりほのかの頭をがっつり掴んでお口に粗相をした癖に!」

「ちょっと待ってえ?!」

「何よ、ほのかばっかりほのかばっかりほのかばっかりほのかばっかりほのかばっかりほのかばっかり!」

「そんな事……いや、そこまでしてないってば!」

「ごごごっ!」


 うわ、葛の『ごごごっ』出た! ほのか、また話を盛ったな?! 葛めっちゃ怒ってるじゃんか! 


 ……あれ? ほのかに夢の内容話したっけ?

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