第22話

 ある日僕は公園で炊き出しに並ぶホームレスを眺めていた。

 お腹は空いているものの、ホームレスの列に並ぶのはどこかプライドが許さない。自分と彼らに何の差もないのに僕はそんな意地を張っていた。

 だけど空腹も限界になり、手持ちのカネもネットカフェに一泊するので限界だったので僕はベンチから立ち上がろうとした。

 そこへ僕より少し老けた男が近づいて来た。

「炊き出し。並んでますね」

「え? あ、はあ」

 自分があれに並ぼうとしているのをバレ、僕はなんだか恥ずかしくなって再びベンチに座った。

「私も何度か食べさせてもらってますけど、結構おいしいですよ」

「そうなんですか」

 なんだ。同類か。それにしては余裕を感じる。いや、余裕とは少し違う。何というか、悟りのようなものに近い。

「食費が減るだけでかなり楽になりますからね。なんだかんだ言っても毎日ネットカフェだと高いでしし」

「そうなんですよね……」

 期間工で稼いだカネも三ヶ月ほどでなくなってしまった。寮からも追い出され、保証人もいない僕に部屋を貸してくれる人はいない。

 日雇いもやったが、体力がないせいで半日も経てばフラフラになる。ここでも自分がおじさんになったことを気付かされた。

 今はまだ野宿もできるが、このまま冬になればどうなるのだろう。

 そんなことを考えると益々不安になる。もういっそ死んだ方がマシかもしれない。

 今の僕はただ本能で生きるだけの昆虫みたいなものだ。

 すると男はこう提案した。

「もしよければ私がお世話になっているシェルターに来ませんか?」

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