第5話







 次は葵の章について説明するわね。


 葵の上は光源氏の正妻だから攻略する必要ねぇんじゃね?と思うでしょ?


 だが!


 葵の上は元祖ツンデレとでも言うべき女性。


 しかも光源氏が藤壺の宮に対する好感度MAXの状態で葵の上と政略結婚したものだから、攻略が難しいのよーーーっ!!!


 だから葵の上の元に通い続けて夫婦水入らずの一時を過ごしたとしても、東宮妃、何れは中宮になるべく姫として育てられたものだからプライドが高いだけではなく、藤壺の宮に六条御息所、若紫と違って彼女の光源氏に対する好感度が上がりにくい。


 光源氏は光源氏で藤壺の宮への想いを胸に秘めたままだし、六条御息所の元に通っているから葵の上に対する好感度が上がりにくいの。


 というより、葵の上の理性のパラメーターは作中の出てくる女性キャラの中では紫の上と同じ一番高い数値。


 だから、六条御息所や二条邸に女を囲っているという話を耳にして嫉妬を覚えていても理性でそれを抑える事が出来るの。


 理知的で冷静沈着、愛想のない女性って光源氏の好みじゃないし、しかも若紫を引き取って自分が理想とする女性になるように育てている最中だからね~。


 葵の章は難易度がヘルやナイトメアと言われるのも当然だわ・・・。


 本当の意味で葵の上と結ばれる方法はただ一つ。


 他の女に見向きしない。


 根気よく葵の上に接する事なのよ。


 葵の章は藤壺の宮に対する好感度MAXの状態で始まるのだけど、乳兄弟の惟光は光源氏の本命が誰なのか知らないから主に対して問い質すの。



『源氏の君、今宵はどこに向かいますか?』



 すると四つの選択肢が出てくるの。



 ①藤壺の宮に文を送る


 ②二条邸へと向かう


 ③六条邸へと向かう


 ④左大臣家へと向かう



 葵の上を攻略しようとしている時に【①藤壺の宮に文を送る】が出てくる理由だけど、彼女の生霊化を防ぐ事と、光源氏が生霊と化してしまった彼女に殺されない為のものなの。


 藤壺の宮に文を送るのを怠ってしまうと理性のパラメーターが下がっていき嫉妬を抑えきれなくなるからね~。


 藤壺の宮に文を送りつつ、好感度が上がりにくい葵の上とは夫婦にならないといけない。


 そこが葵の章の難易度がナイトメアやヘルと言われる所以なの。


 葵の上と夫婦になるには【左大臣家へと向かう】を選ばないといけないのだけど、次はどのようにして過ごすのかを選ばないといけないの。



 ①二人で楽器を演奏する


 ②二人で絵巻物を眺める


 ③二人で囲碁をする


 ④共に帳台で過ごす


 ⑤頭中将と過ごす



 さっきも言ったけど葵の上は好感度が上がりにくい。というか互いの好感度は0。


 そんな時に【帳台で過ごす】を選ぶと、葵の上に夕霧懐妊+車争い+六条御息所の生霊に殺されるという死亡フラグが立ってしまい紫の章が解放されてしまうの。


 軽い気持ちで【頭中将と過ごす】を選んだら葵の上の死亡フラグは立たないし、好感度も関係ないから問題ないわ。


 その代わり、男同士の雑談と猥談が繰り広げられるけどね。


 葵の上と本当の意味で夫婦になるには①~③を繰り返して少しずつ彼女の心を開かないといけないの。


 といっても【①二人で楽器を演奏する】を選んだら次に【何の楽器を演奏する?】と聞いてきて選択肢が出てくるの。



 ①琴と瑟


 ②笛と箏


 ③琵琶と和琴



 互いの好感度が0~50の時に【①琴と瑟】を選んだら葵の上が



(これって皮肉なの?やはり殿は私の事を形だけの妻としか思っていないのだわ)



 って受け取ってしまうから、二人で楽器を演奏して好感度を高めたい場合は【②琴と箏】か【③琵琶と和琴】を選ぶしかないの。



 根気よく囲碁をしたり、絵巻物を眺めたり、琴と瑟を除いた楽器の演奏を繰り返す事で互いの好感度が八割になると新たな選択肢が出てくるの。



 ⑥葵の上に触れる



 触れると言っても、いきなり最後までやってしまったら葵の上の光源氏に対する好感度が一気に下がってしまうの。



 ①髪に触れる


 ②頬に触れる


 ③抱き締める



 のどれかで一晩を過ごす。


 それを繰り返す事で本当の葵の上は幼子のように不器用なのだという事を知った光源氏は彼女に対する好感度が上がっていくの。


 そして互いの好感度が九割になったら新たな問いが出てくるの。



 葵の上のどこを愛でる?



 ①首


 ②背中


 ③胸


 ④足



 葵の上の光源氏に対する好感度が九割になっているから、その頃の彼女は素直に夫の求めに応じてくれるわ。


 ゆっくりと愛を育んだ事で好感度MAXになった時に【帳台で過ごす】を選んだら、光源氏と葵の上の穏やかだけど、それでも想い合っている事が分かる初夜(?)がムービーで流れるの。


 晴れて夫婦になった二人の間には夕霧という息子だけではなく大君という娘にも恵まれる。


 後に夕霧は太政大臣となり、光源氏と葵の上との間に産まれた大君は、朱雀帝と弘徽殿女御(六の君)との間に産まれた皇子が東宮の頃に東宮妃として入内。彼との間に何人もの御子を儲けて中宮になった事が語られるの。



『葵の上、今宵は貴女の瑟を聞きたい』


『はい。それでは殿は琴の演奏をお願いしますわ』



 月が美しい夜に左大臣夫妻と女房達の前で、二人は琴と瑟を奏でるの。


 これが葵の章のハッピーエンドである【琴瑟相和す】よ。







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