第13話 正面の戦い
「始まったな」
「ああ、そうだな。少ししたら僕たちも動くぞ」
「了解だ」
「わかった」
「ノエルは、狙撃位置に」
「わかってる」
ノエルは頷く。
今回の依頼に関して、かなり重要な役割だということがわかっているからだ。
だからといって、すぐに戦闘が始まるわけではない。
まずは裏通りにあたる場所で、亜衣たちが戦いその戦闘によって遺物たちにも混乱が生じるだろうとの予想がされる。
ノエルたちの出番があるのはそれからだ。
少しして、遺物の反応が激しく動くのをノエルたちは感じた。
「始まったな」
「ああ」
「少ししたら、僕たちも行くぞ」
「そうだな。時間をかけると面倒になりそうだからな」
智也がそう口にしたのには理由があった。
それは、近づいてくる遺物が多くあるのを感じたからだ。
異変を感じて壺の遺物が引き寄せているのだろう。
だからこそ、智也たちは行動を開始する。
亜衣たちが引き寄せているおかげなのか、表の通りにいる遺物の数は少なくなっている。
「一気に攻めるぞ」
「そんなこと、言われなくてもわかってるぞ!」
シンジは双剣を構え、智也は拳を構える。
それぞれの武器はアーティファクトだ。
シンジと智也は弱い遺物たちを薙ぎ払っていく。
「おら!毎回使ってるが、こいつは便利だな」
普通であれば、封印を施すためには専用の願いを込められた遺物か、アーティファクトを使わないといけない。
だが、銃などの武器を得意にしていないシンジと智也のような人たちには、封印するために必要なことだ。
玉のようなそれは、投げるだけで遺物にぶつかると封印される。
本当に便利な玉だと智也は思っている。
銃のように構えて撃つ。
そんなことをわざわざする必要がないからだ。
ただ、投げたい場所に投げる。
それだけで、封印ができるのだから便利だ。
「どんだけ出てくるんだよ」
「本体がまだだ」
「わかっている。僕たちは上位の選ばれたものたちだぞ」
「ああ、シンジわかっている」
智也にはシンジの言いたいことがなんとなくわかっていた。
学園の上位に選ばれたのだからこそ、こんな有象無象にやられるわけにはいかないということなのだろう。
それでも、智也たちはまだ原因となっている遺物である、壺が本当にあるのかということもわかっていない。
でも、これだけ遺物が集まっているということと、異質な遺物の気配を感じるということは…
「絶対に何かある」
「そうだな。これはある。ただ、出てくるまでどんだけ倒せばいいんだよ!」
「僕にだって、わからない。それでも、何もしないまま撤退はありえない」
かなりの数だ。
雑魚ばかりで、傷を負うこともない。
それでも体力は削られていく。
「智也」
「なんだ?」
「遺物を使う」
「使うのか?」
「もちろんだ。このままというわけにはいかないからな」
「だったら、オレは背中を守るぞ」
「ああ、いつものように任せるぞ」
その言葉とともに、シンジはアーティファクトをしまい、遺物を腰から抜き去る。
遺物が見えるのは、一部の優秀な人間だ。
そして、それの上をいくのが、遺物を使える人間だ。
遺物使いと呼ばれている存在はかなり限られた存在だ。
その一人であるシンジは、その双剣を構える。
「いくぞ!」
「おう」
遺物の力を使ったシンジは遺物の群れに突っ込んでいくのだった。
※
「おいおい、こりゃ面白い展開になってる気がするな!」
男は気配を感じながら、そう言葉にするのだった。
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