第12話 始まる依頼

「すごい力を感じる」

「本当に…」

「ああ、これはすごいな」

「力は感じますが、そこまでなのでしょうか?」


遺物から出される何かを感じた俺たちは、そう言葉にする。

ハチが疑問に思ったのは、自分のほうが上位の存在になるからなのだろうか?

実際のところはよくわかっていないが、ハチが言うのだから、そこまでではないということだろう。

俺たちは感じる気配に気を引き締めながらも、裏口になるのか、その場所から近づいていく。


「やっぱり、予想通り」

「ああ、かなりいるな」

「大丈夫?」

「なんとかな…」


確認すると案の定というべきなのか、かなりの数の遺物が集まっている。

壺に集まっている遺物だからか、感じる力というのはそこまで強くないのはわかるが、それでも俺は遺物を前にして体が震えてしまう。

それを見て、心結が声をかけてくれるが、俺は頷く。

大丈夫だ。

リエルとのトレーニングで少しずつではあったが、克服できているはずなのだ。


「いける」

「大丈夫。どうせ集まってる遺物は弱いものばかりなんだから、いざとなればうちらがちゃんと守るから」

「本当に…こう見えても、あたしたちは学園の中でも選ばれた人たちだから、任せて」

「そうです。ご主人様には私もいますから」

「行くね」


女性たちにそんなことを言われながらも、俺たちは亜衣を先頭にして進んでいく。

壺の遺物によって集められたのだろう、弱い力をもった遺物たちが多くある。

壺の遺物の力なのか、普通であれば遺物というのは、叶えるために必要な姿になっていることが多いのだが、今回はすべての遺物が胸の辺りにあり、人型のような姿になっている。

まるで、ドールのようだ。


「これは、壺の遺物のせいなのか?」

「はい。遺物が遺物に力を与えて操っているという形になりますね」

「初めてみるな」

「でも、力はそこまで感じないし、うちらはちゃちゃっと始めないと」

「おっけい。まずはあたしの力で」


そう言葉にすると、腰のアーティファクトである銃を二つ抜き去る。

俺と亜衣は同じように剣と銃を構え、亜衣は薙刀を手に持つ。


「弱いやつらなら、あたしの銃で一撃でやれるはず」


その言葉の通り、引き金を引く。

二つの銃から、勢いよく封印をするための弾丸が発射される。

見えている遺物の部分に向けて飛んでいった弾丸は、そのまま遺物に当たると込められたものによって、封印される。

見えている遺物に向かって確実に当てることができる射撃能力はさすがというべきだろう。

ただ、アーティファクトの銃に込められる弾の数が五しかないということもあり、合計で十しか遺物は封印できていない。

最初に見えていた数だけでも三十はいたことを考えると、まだ三分の一程度しか倒せていない。

そして、俺たちが攻撃を開始したことによって、神社に集められていた遺物たちはこちらに向かってくる。

それもだ…


「やっぱり見えているだけじゃないってことかよ」


予想はしていたが、いろいろな場所にまだ集められていたのだろう。

すぐに同じくらいの数が集まってくる。

といっても、すぐにリロードを完了した心結が弾を撃ちだす。


「まじで?」


先ほどと同じように、遺物の部分。

今回は石だが、それに当たり、封印が行えるはずだったが、遺物たちはその腕をクロスさせることによって、銃弾を防ぐ。

さすがに弾が当たると、腕は吹き飛び、再生するようなことはないが、それでもこれでは封印に使う弾は最低でも倍以上は必要になるということになる。


「心結!」

「うん、これはヤバいかもね」

「館!」

「なんだ」

「予備の弾薬あったっけ?」

「ああ、一応それなりには持ってきてる」

「だったら、やれるとこまでやるしかないわね。あっちの動きは?」

「わからないな」

「だったら、余計にやるしかないってことね。心結…うちがくずから、いける?」

「まっかせなさい」


心結は銃を構えたのを見て、亜衣は前に出る。

その横にはハチが並ぶ。


「いけるの?」

「これくらいの弱い遺物であれば、私でも対処は可能です」

「それじゃ、行くわよ!」


亜衣とハチは遺物に向かっていく。

それを見ながらも、俺はうまく動けないでいながらも銃を構えるのだった。

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