第11話 依頼場所へ

「うちらは結局こっちか…」

「まあ、シンジのことだもの、あたしたちのことを足手まといをいれた裏切者だとでも思っているんじゃないかしら?」

「そんな気はするな…って、運転するのはまた俺かよ」

「ダメなの?」

「いや、そういうことじゃないけどな」

「私はご主人様の運転?姿を見れて嬉しいです」

「ほら、ハチがこうやって言ってるんだから、いいことでしょ」


まあ、別に嫌と言っているわけではないのだが…

ただ、正直なところ、気になったことを聞くいいタイミングではあった。


「なあ、今回の作戦うまくいくと思うか?」

「どういう意味?」

「いや、気になっただけだ」

「館がそう言うってことは、何かうまくいかないって確信があるってことでしょ?」

「なんとなく気になったことがあってな」

「それってなに?」

「ああ、ハチのことだ」

「私ですか?」

「そうだ。ハチに俺たちのアーティファクトが意味がないというのは、知ってるよな」

「うちは聞いたくらいだけどね」

「あたしは初耳なんだけど」

「意味がないのは当たり前のことですからね」

「そこで疑問だったのは、ハチ以外にも同じようにアーティファクトが意味をなさない遺物というのはあるのか?」

「はい、強力な遺物であれば、当たり前のように弾くと思います」

「だそうだぞ」


俺は後ろで驚いている二人にそう声をかける。

亜衣と心結は顔を見合わせている。


「それが本当なら、やめさせるのがいいんじゃないの?」

「いや、見せてもらった遺物がハチと同じような高位の遺物なのかわからない以上はどうなるかわからないからな。うまくいく可能性だって、あるだろ?」

「そうなのかもしれないけど…でも、どうしてそれをあのときに言わなかったの?」

「あれだ。俺があんなときに言っても信用されていないやつが何を言ってんだってなるだろ?」

「言われてみればそうなのかもしれないけど、それならハチと一緒に後ろで見る位置にでも配置してもらってもよかったんじゃないの?」

「それは、なんとなく…」

「亜衣が心配だったんだよ、きっと」

「え?それは、その…」

「照れてる、照れてる」

「はい。やはり…」


心結がからかい、それにのっかるようにしてハチもそう言葉にする。

亜衣は本当に照れているのか、何も言わない。

ただ、俺は違うことを考えていた。

今回の、俺の役割というのは、この四人で入口の一つをなんとかするというものだ。

今更ながらに、ちゃんとした今回の依頼内容は、壺だと思われている遺物の封印だ。

誰も近寄ることがなく、すたれている神社のような場所にあるものになっている。

そして、壺があるのは朽ちかけた建物の中だ。

それをノエルが外から狙撃するのだが、当たり前だが、ただ遠くから弾を撃って、はい終わりとはならない。

今回の遺物が、周りに多くの遺物を集めているからだ。

壺の願いによるものなのか、壺に込められた願いよりも思いが弱い遺物たちが集められている。

そのせいで、遠くから狙撃しても弱い遺物たちに当たってしまって意味をなさない。

だったら、遠くからすべて封印できるまで撃てばいいと思うが、弾が無くなれば一緒で、さらにはどれだけの数の遺物が引き寄せられているのかが行ってみないことにはわからないので、余計に無駄なことはできないということもあり、神社の入口は表と裏の二つがあり、俺たちは裏のほうを担当することになっている。

最初の会話もここからきている。

学園長の言葉によって、俺たちは四人でいることを強いられているので、仕方ないのだが…

シンジはそう思わなかったのだろう。

違う乗り物に乗っているので、何かを言っても仕方ないのだが、ついつい考えてしまう。


「今は考えても仕方ないし、ついてからだな」

「そうね。ハチは遺物がどんなのかわかるの?」

「はい。近くに行って、実際に見て感じることができれば、可能だと思います」

「それじゃ、そのときに判断してもらうってことでいいよね」


そうして、俺たちは依頼の場所へと向かっていく。

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