第2話

夕食の席で、お茶会での内容を両親に報告した。


普通になるように言われたこと、行動を慎むように言われた事を。


両親はなぜかとても喜んでいた。


「さすが、アーサー殿下はお目が高い。マリーベルに普通になるようにとは。なぁ?

マリーベルが優秀すぎるのを認めてのお言葉だ。私も鼻が高い。」



「えぇ、本当に。

それにマリーベルが美しすぎるから、あまり目立ってしまうと、他の殿方の目に止まることを心配なさってるのね。独占欲の現れ、いえ、愛ですわね」


どうしたらそんな解釈になるのでしょう?


ダメだ。親バカだった。

この際はっきりと口に出さなければ。



『いえ、そういう事ではないのです。

お父様、お母様、

アーサー様との婚約は辞退させてくださいませ!」


「!」


真顔になったのは一瞬のことだった。


両親はすぐに二人とも顔を綻ばせる。


「マリーベルったら、もうマリッジブルーなのね?」


「マリーベル、アーサー様は素敵な方だ。

何よりこの国の王太子だ。マリーベルもきっと幸せになれる」



「でも、私は……アーサー様のことが苦手なのです」


もう、どうして分かってくれないのでしょう。


自分の気持ちのことは忘れたとしましょう。


貴族の娘としての務めは理解していますっ。


でもでも、このまま私がいずれ王妃になったとしたら、この国の行く末は不安しかありませんよ?


そのことはいずれ我が家の名にも傷がつきます


本当に大丈夫と思っているのでしょうか……


いいえ、それは建前ね、ごめんなさい。


ただ、私、アーサー様と結婚なんて嫌なんです


きっと見抜いているのですねお父様。




「可愛いマリーベル。マリッジブルーは誰しも経験することだから大丈夫よ。

あまり深く考えてはダメ。このお話は今日はここまでね。」


優しく諭すように声をかけてくれるけれど、強制的に会話は打ち切られてしまった。




それから三日後━━。




アーサー様からまたお誘いのお手紙が届いた。


私は王城へと向かった。


いつもの通り応接室へと通される。


アーサー様とのお茶会の時は、侍女達は同席することを許されていない。


給仕の方が来られる以外は、アーサー様と私の二人きりだ。


人目がないので、いつもアーサー様は私に威圧的な態度をとってくる。



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