第4話

穏やかな風が吹き抜ける土曜日の午後、桃花、優華、陽夏莉、知子の4人は約束通り、栗山の里新宿森林公園で集まった。春の陽射しが優しく公園を照らし、木々の間から光がキラキラと差し込んでいる。


桃花が、にこにこしながらピクニックシートを広げ、包みをほどいた。


桃花 「ねえ、今日はお弁当も持ってきたから、みんなで食べようよ!」

優華 「それいいね!何が入ってるの?」

知子 「私のもあるよ!ちょっと変わったお弁当だけど、食べてみて!」


知子が取り出したのは、彼女特製の手作りおにぎり。みんなは楽しそうにお弁当を並べ、いつも通り笑いながら過ごしていたが、知子は心の中で別の緊張感を抱いていた。今日はただの遊びの日じゃない。彼女にとって、特別な決心の日なのだ。




知子は、他の3人が楽しそうに話すのを横目にしながら、公園の片隅に静かに座り、手元の手紙に視線を落とした。心の中ではずっと悩んでいた告白を、今日はやっと実行する時だと決めていた。


知子(心の声) 「陽夏莉に、この気持ちを伝えたい。でも、どうしても言葉では上手く言えないから…手紙なら、ちゃんと伝わるはず。」


知子はペンを握りしめ、慎重に言葉を綴り続けた。彼女の手は少し震えていたが、後戻りはしない。心臓の鼓動がいつもより大きく感じられた。




ピクニックが一段落し、みんながのんびりとした雰囲気に包まれていた時、知子はゆっくりと立ち上がり、陽夏莉に近づいた。


知子 「陽夏莉、いいかな?…。」


陽夏莉は一瞬驚いた表情を浮かべたが、優しく頷いた。


知子は震える手で、書き上げた手紙を陽夏莉に差し出した。陽夏莉は、少し戸惑いながらもそれを受け取る。


陽夏莉 「…?読んでいいの?」


知子は頷き、彼女の答えを待つ間、心臓がドキドキと高鳴っているのを感じていた。時間がゆっくりと流れているような感覚。陽夏莉はその場で手紙を読み始め、真剣な表情で文字を追う。



陽夏莉は手紙を読み終えると、顔にやわらかい微笑みを浮かべ、目をキラキラと輝かせた。知子の心臓は今にも破裂しそうだったが、次の瞬間、陽夏莉の口から出た言葉がともこの全ての不安を吹き飛ばした。


陽夏莉 「知子、私もずっとあなたのことが好きだったよ。付き合ってもいいかな?」


その言葉を聞いた知子の顔に、瞬く間に笑顔が広がる。胸の中に満ち溢れた嬉しさを抑えきれず、涙がこぼれそうになる。


知子 「本当…?よかった…!」


二人はお互いを抱きしめ、暖かい気持ちで包まれていく。まるで世界が2人だけになったかのような、その瞬間、全てが輝いて見えた。




少し離れたところでその様子を見ていた桃花と優華が、にっこりと微笑み合い、手を振りながら二人に近づいてきた。


桃花 「やったね!おめでとう、知子!」

優華 「これからもずっと仲良くしてね、陽夏莉!知子!」


祝福の言葉に、陽夏莉も知子も顔を赤らめながら照れくさそうに笑う。彼女たちの友情はさらに深まり、公園の晴れ渡った空に長い雲が静かに流れていった。


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