スーパーパワーが欲しくなる
「はぁはぁあいつら…早すぎだろ」
あれから俺らは魔王に対抗する力を得るために訓練に励んでいた。
どうやら王様が言うには別世界に行く時に魂が自動的に強化されるらしい。強化されると言ってもすぐにスーパーパワーが手に入るのではなく成長速度が上がるなどの効果があるらしい。
実際俺の足は前の世界にいた頃よりも早くなってい筋肉も付きやすくなっていた。
そして今行っているのは基礎訓練の走り込み最初の頃は皆んな揃って地面倒れてたが今では俺だけがその状態のまま続いてる。
「トオルお前はまだ基礎ができていない昨日と同じ訓練を行え」
「は、はい…わかりました」
そう言い終わるとそのままこの場を立ち去る騎士とクラスメイト達
何人かのクラスメイトが立ち去ると同時にこちらに振り向き笑みを浮かべる。
俺は、それを黙って見送る。
「かっーくそムカつく!!あいつらめ!!疲れてる時にあの顔見るとまじ頭にくる」
はぁとため息をつきながら頭をかく。
「なんかないのかなーパワーアップできるアイテムみたいなの」
両手を真上にあげそのまま後ろに倒れる。
「そんなものは出てこないよトオル君」
「はぁ俺はメガネの男の子じゃないぞロイド」
上から俺の顔を覗くイケメン…騎士のロイドに目を合わせる。
「あははそうかい聞いた話の特徴だとトオルにそっくりだと思うけど?」
さわやかな笑顔に眩しさを感じる
「そうか全然違うと思うけど?」
まぁすぐ眠れるとか睡眠系は似ている部分もあるが
「まあいいやそれで今日も監視役か」
「そう今日も監視役まあ君は僕がいなくてもサボらなそうだけど」
「それはありがたい言葉だな」
サボらないから監視しなくていいぞと目で訴えるが
「まあでも僕も罰が怖いから監視はしてるよ」
「297…298…299.300!!」
震えた腕は、限界を迎えビターンと大の字うつ伏せで倒れる。
「うんこれで今日の基礎トレーニングは終わりかな」
「はぁ…やっと…おわった」
少し視線を上に上げると空はもうオレンジ色に染まっていた。
「今日も基礎トレーニングだけで終わったのか…」
「いつも言ってるが嘆くことはないと思うぞ」
その声に反応して横を見ると半裸のロイドが汗だくになりながら腕立て伏せを行っている。
「いや横で軽々しく俺の2倍以上のトレーニングをこなしてるやつに言われたくないんだけど」
「あはは…まあこれでも僕は幼い頃からこのトレーニングをやり続けてるからね」
ロイドは、呟きながら昔を思い出すように目をつむる。
「それに軽々しくって言うけど僕がこのトレーニングを一日で終わらすことができるようになるのに3ヶ月はかかったんだよ」
俺たちが訓練し始めて1ヶ月経っておりそう考えると自分の成長速度が速いことがとてもよくわかる。
「トオルの成長速度は、僕からしたらとてつもなく速く
驚かされてるよ。だから変に自信をなくすなよ」
「ありがとうロイド…はぁもう一本走るか」
「いいね!!僕も一緒に走らせてもらうかな」
ロイドの言葉にで自信を取り戻しクラスメイト達に対する小さな嫉妬をブンブンと頭から追い払いその場から立ち上がる。
そのまま10kmの長距離を走り始めた。
「ふぅゴール!!」
10kmを走り終え肩で息を吸う。
走る前に逆さにした砂時計を見る。上の部分の砂が半分くらい残している。
俺は砂時計に手を伸ばして触ると緑の文字と数字が浮かび上がる。
―ナカセ トオル―25:54
「記録は更新したか…」
その数字に一瞬喜びが溢れるが…
「ダメだダメだ!!記録更新うれしいー超うれしい」
無理やり嫌な顔を忘れようとする。
「記録更新おめでとうトオル何分更新したんだ?」
「うん…1分10秒の更新」
「それはかなりすごいね。ところで肩貸そうか?」
ロイドは、俺を見つめながら肩を差し出す。
今の俺は生まれたての子鹿みたいに足を震えさせながら立っている。
「ああ、ありがとう頼む」
ロイドの肩を借りながら歩きだす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます