話し合い

 ガツンとした音と額に感じる鈍い痛みに顔をしかめながら夢から現実世界に引き戻され目を開けるとそこにはレッドカーペットの先にでかい椅子にそれに座るデカい男の人。

「どこだここは…」

 目の前に座る男は、強面で体がデカく頭の上には王冠をのせている。

 ざわざわ…ほかのクラスメイトも気づいたのか見慣れない光景にざわめきだす。


 クイクイっと中瀬の服の裾を誰が引っ張っる

「ん…」と引っ張ってる方を見ると何か言いたげな窪田の顔が映る。

「どうした」と聞くと。

「これって前に話した神隠し事件なんじゃ」

 その言葉に中瀬は、考え込んで前の記憶を遡る

「もしかして忘れちゃった?」

「あーそのごめん」

「いや大丈夫すごく大事な話でもないから」

 

 周りも少しずつ落ち着いてきたころデカい椅子に座っていた男は、立ち上がり話し始める。

「我の名前はシリウス…イリーヌ王国の王だ…」

「召喚されて急ですまないが我々に力を貸してほしい…魔王を倒すための力を」


 魔王という言葉に皆んなが反応する。

「魔王って…仮にそんなやつがいたとして僕らは非力な学生です貸す力なんてなにもないと」

 顔のいい男冷静に話しだすとそれに注目するようにみんなの視線が向けられる。

「僕の名前は、神木 悠介ですシリウス様?質問をいくつかしてもいいでしょうか」

「ああ大丈夫だ」

「召喚されたということはここは僕達とは違う世界ということでよいのでしょうか?」

「そうだここの世界は君達の世界とは違う」 

「わかりました…では僕達は元の世界に帰るんですか?」

 帰れるか帰れないかこの質問は、ここに目覚めてからみんながすぐさま考えていたことだ。神木の言葉の後にぐいっと王様の方にみんなが顔を向ける『帰れる』という言葉を待つように。

「いや元の世界には帰れない」


「そんな…」

 中瀬の隣にいた窪田はそう言葉を漏らす。

 それと同時に他のクラスメイトも『なんで』『どうして』『帰りたい』など言葉を漏らし始める


「それは帰れる方法がないだけで…」

「すまない語弊があった…正確に言えば元の世界に帰ることはできるだが元の世界の君達はもう死んでいる」


「そういえば」と窪田はここに来る前のことを少し思い出す。バスの揺れからその後意識を刈り取る衝撃を

「大丈夫か窪田?」

 震える窪田を見て中瀬は心配そうに声をかける。

「うん…ありがとう」


 中瀬は窪田を落ち着いたのを確認して神木を見る。


「ありがとうございます…質問これだけです」

「そうか…他に質問があるものはいるか?」


「いなそうだな…詳しい話はまた別日にしよう。君達の部屋を用意をする心を落ち着かせてからもう一度話そう」


 シリウスがそう言うとどこからともなくメイド服の女の人に連れてかれそのまま用意された部屋に向かった。



 中瀬は、メイドに連れられ部屋に入ると一人で住むには少し広めの部屋が広がっていた。

「結構広いな」

 部屋に入ってすぐに目に入ったベットに一直線に向かいそのまま寝転がる。

「何が何だか意味がわからねー」

 中瀬は、ふかふかのベットに心地よさを感じながら考える。

(とりあえず俺たちは魔王を倒すべく呼ばれていて帰りたいけどそもそも元の世界の俺達は死んでいてほぼ帰れない状態)

「魔王ね…ゲームとかでなんとなくイメージできるけど別にそれを倒すような力持ってるわけでもないしな」

(ただ王様からは、悪い感じはしないな…うーんわからん)

 ふわぁとあくびが漏れるとそのまま彼は目を閉じ眠りだす。

 他の者は、涙を流す者もいるなか彼はただ一人知らない世界の知らない国の部屋で1分たらずで寝始める。

 ある意味一番冷静で図太い。



 

 ぐかーぐかーと大きないびきをかく中瀬を見て窪田は、驚きといつも通りの中瀬を見て少し笑みが溢れる。


「起きて中瀬くん」

 肩をゆすって眠っている彼を起こす

「どうした窪田」

 意外とすんなり起きてすこし驚く

(いつもなら何回か声をかけないと起きないのに一回で起きた)

「中瀬くん今からみんなでこれからのこと話すらしいから付いてきて」

「話し合い…わかったすぐ行く」

 中瀬はベットから降りてシワがついたシャツを適当に直して先に部屋から出た窪田を追う。


 中瀬たちがいる部屋は広間を囲うように連なっており中瀬が部屋から出ると真ん中の広間で男達が話し合っていた。

「中瀬くん起こしてきたよ」

「ありがとうじゃあ今から話し合おうか」

 神木が中心となって話し合いを始めた。

「とりあえずこれからどうするかみんなの意見を聞かせてくれ」

「王様に協力するかどうかだよな」

「辞めおいた方がいいと思うよ魔王よくわかんないし怖いし」

「協力してもいいんじゃないか」と皆それぞれが思うことを言う。

「ちなみに神木はどうするつもりだ?」

「うーん僕は協力してもいいと思う…協力すれば命の安全は保たれそうだし非協力的な姿勢を見せてここから追い出されたら何もできずに死ぬかもしれない」

「確かにそうだけど…そもそも本当に死んでるのかな僕達?」

「確かにそれだったらすぐに帰りたいよなー」


「いや死んでるっていうのは本当のことだと思うよ」

 窪田は、話を割って転移する前の自分が見た景色について語る。

「ありがとう窪田くん。そうなると協力が一番か…」


 魔王や王様関連の話を終えた彼らはそのままゲームやら漫画などの話をしたりしてその日を終えた。


 その後王様との話し合い協力する形になった。

「協力するといっても僕達はなにも力がありませんがどうすれば」

「まずは協力してくれてありがとうそして魔王に対する力については我が王国の騎士が君達を指南してもらう」

 そして彼らは、3日ほど時間を置いた後訓練を開始した。

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