夕暮れ時に
杏菜
夕暮れに
夕暮れ時に、心が少し寂しがって
夕暮れ時に、雲の形がよくわかって
夕暮れ時に、日が斜めって横顔を照らし
夕暮れ時に、騒がしい足を一瞬止めて
夕暮れ時に、誰かにこの景色を見せたくて
夕暮れ時に、空も風も一息ついて
夕暮れ時に、貴方にまたねと手を振った。
あなたは“夕暮れ時に”何を思い、
何を感じるのだろう。
私は夕暮れに気を取られた人の顔が好きだ。
夏の入道雲や、冬の雪を見る目とは違う。
どこかに帰りたくなって、
でもまだ帰りたくなくて、
日は「じゃあお先に」と帰ってしまうから
私のことを置いていかないでと
不安になって
みんなが夕焼け時にふと思ったこと、
感じたこと、それらを全部集めて
ひとつの瓶に閉じ込めた時、
その蓋を開ければ
私はきっとどこかに帰りたくなるだろう。
どこにも帰りたくない時もあって
誰にも会いたくなくて
夕暮れ時のチャイムがなって
「もう行くからね」と諭す夕日に
ずっとそっぽを向いたまま
でも大丈夫
夕暮れ時が寂しいのは
心が落ち着かなくなるのは
また明日も会えると知っているから
必ずやってきて去っていく
あなたが心のどこかで安心して
そっぽを向ける人
それはあなたの大切な人
あなたは今夕焼けに何を思うのだろう
夕暮れ時に 杏菜 @queen1anna
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます