第95話

『間違ったらキス!とか言うんでしょ~!?!?』




『ブブー。はい、間違い1』




そう言って、平然とあたしの前ボタンに手をかける。




『ナッ!?!?』



『間違ったら1枚脱ぐ。それくらいないと俺の貴重な時間を、いくら彼女にだって割けねぇよ』




(か、彼女…)




っておぃ!!


たかが「彼女」て言葉に照れないの!!!




ってこらっ!!!


ボタン、するする開けてんなぁ!!!





パシッと王子の手を叩いて、開かれていたパジャマを押さえる。





『…まだダメなわけ?』




急にしんみりとして王子が言う。



少し薄めたその目つき、ヤバイほどセクシー…




とろんとした空気が二人を呑み込んで、あたしの首元に王子が顔を傾ける。





『いい匂い』




バクバクと高鳴る鼓動



で、出てきそうなくらい心臓がうるさい




『千亜稀…っ』




クラーッと血の気が引いてソファーに背を沈める。



ドキドキしすぎで逆上せてしまったあたし。




『まじ、アホ』




呆れた王子があたしの額に濡れたタオルを当ててくれる。





(恥ずかしい恥ずかしいッ!!!)





.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る