第94話

実は昨日、テレビを見ている王子に勉強を教えてもらえないかと相談してみた。




『あーいいよ』



意外とあっさりと返ってきた返事。




『ホント!?』



『何の教科?』




付き合えば、人って変わるのかっ!と感動して苦手な数学を広げてみる。




『は?!ここのどこが分からないわけ!?』




数列なんて許容範囲外だと思っていたあたしには衝撃のセリフ!




『え…分かる所がないかと…』




恐る恐る見上げて呟くとため息をつきながら

『ほんとにアホ』と投げ捨てる。



(抑えて~抑えて~)



沸々と湧き上がるイライラをゆっくりと抑えつける。




頬杖をついて教えてくれる王子をバレないように観察するあたし。




お風呂上りで少し濡れた髪がヤラしいな…なんて考えてるあたしがヤラしいよッッ




一人ドタバタするあたしに気づいたのか王子が口を開いた。




『なぁ、間違ったら条件つけねぇ?』



ニヤリと笑うあの口元。




(もしかして…ι)

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