第88話

唇を触りながら、あたしは小さく反復する。



何も言わずに、光を集めたその瞳であたしを見つめる。



ただ見つめられるだけで、あたしの体は熱を帯びるんだ。




「…キ ス…」




す…



き…



Σ!!!!




ボッと頬が染まる。



染まるあたしの肩に腕を乗せる王子。




チュ



「何ならお姫様抱っこで招待しようか?」




あの瞳。


イジワルそうにあたしを捉えて、とことんあたしを夢中にさせる。




「しょ、招待?」




そう聞き終わらないうちに抱き上げられたあたしの体。




「どわーッ!?」と暴れる甲斐もなく、王子のお姫様抱っこで部屋に入る。




ゆっくりと下ろされて、座らされたベッドの上。




ぐいっとシャツを脱ぐ王子。




(どぇ!?!?)

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