第78話

「あたくし…実は…」




(ちょっ!ちょっと待ってよ!三角関係(イメージ泥沼)だけはマジ勘弁ッ!)




「ずっと前から…」




(タンマタンマタンマァ!)





「山神充の事が…好き…なんです」






(ドェーーーーーーーー?!)







って、え?


そうなの?




ぱちくりと瞬きをすると



「だからあたくし、克穂様を勝たせようと試合も足を引っ張る予定だったのです」



と頬を染めて腕を摩る。



その割には、漫画のキャラに負けず劣らずのナイスプレーを見せてくれていた。



「ラケットを持つとどうしても血が騒いで…」




「お恥ずかしいッ」と手に顔を埋める。




指の隙間からチラッとあたしを見る。



(何ι?)



「あの…その…」



あ、もしかして…



「大丈夫!キスしてないよ」



ふりふりと顔の前で手を振った。



夫人から安堵の笑みがこぼれた。




「恋する乙女同士、仲良くしましょう!」



がしっと手の平を合わせて強気に笑う夫人。




あたしはこうして、友達を手に入れた。





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