第75話
充くんに視線を当てながら、作り笑いを見せて王子の額をぐいぐいと押す。
「えへ…違うの…エヘヘッ、これは…その…」
しどろもどろと焦りの笑いを見せて充くんを見上げる。
「ふぅ~ぅん。さっきはヤッてないとか言ってたくせに~」
ニヤニヤ、ニマニマあたし達をなめ回すように目を曲げる。
額をぐいぐいと押す。
汗ばんでいる額。
こめかみに流れる汗。
荒い呼吸。
熱い吐息。
まるで発熱しているかのような王子の身体。
発熱…しているような…??
「うわっッッあつッッッ!!!」
びっくりして身を揺すると王子の額が床にダイビングした。
ゴツン!と鈍い音がして、ゆっくりと体を起こし額を押さえながら壁にもたれ掛かった。
「マジ痛ってぇ…」
怒りに満ちているはずの発言もどこか力がなく、染まる頬も熱のせいだと言われれば納得できる。
(そんな王子にトキメいてたあたしってぇぇぇ!!!)
あわあわと後ろにお尻歩きをして充くんの足にぶつかった。
その瞬間、ぐいっと足を引っ張られ「あ~~れ~~」と王子の傍に引き戻される。
「これ以上世話妬かせんな!」
怒りに満ちているはずの発言が、熱のせい?
「俺の傍にいろ」そう言ってるように聞こえる。
熱を帯びたその瞳にあたしはまたドキドキと胸が高鳴ってパッと視線を外した。
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