第74話

いつもより熱い吐息があたしの首筋を支配する。



ただそれだけなのに、あたしは…声が漏れそう。




王子があたしにもたれ掛かり、優しく肩を抱く。




(ど…うしたの?今日何だか…)



優しい束縛にあたしは王子の胸を優しく押して、顔を覗き込んだ。



潤んだ瞳。



「千亜稀…」と甘い声で囁く。



それだけであたしは胸が、呼吸が、瞳が、王子を捉えて止まないんだ。



ゆっくりと近づくその壊れそうな瞳にあたしは少しずつ顎を上げて近づいた。





唇が王子の唇に重なる…


あたし達…想いも重なり合える……?






カチャ




「?!」




背もたれにしていたドアがいきなり開いてあたしは後ろに倒れ込んだ。



上に乗っかる王子。



「ちょっ…?!」



上を見上げるとあたしを見下ろす二つの瞳。



「あっお楽しみ中?」



充くんがニヤリと目を曲げて、被さるように横たわるあたし達を見た。



それでもあたしの胸に顔を埋めて、どく気配を見せない王子。




(ねッねぇ!どうしたの?!)



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