第72話

バター…ァンッ









バコーンッ








「ぁだι」









………?




テンテンテン…





ざわざわと周りがうるさくなってあたしはそっと瞳を開けた。



ベストポジションでカメラを構えていた新聞部もポカンと口を開けてそちらを見ている。




人が倒れてる。




お○夫人が倒れてる!!




あたしを捕えていた手が離れて、倒れている夫人を抱き上げた。




「こいつ持病持ってっから」



慌てて抱き抱えホテルへ帰って行く。




ざわざわと観衆がざわめいた。




足元で転がるテニスボール。



投げたの…誰?




パッと合う視線。



王子があの顔であたしを見つめる。



陰りのある少し意地悪な目。


温かみもない冷たい目。



でも…優しいあの瞳。




今…ここ、みんなの前



だよ?







.

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