第60話

現状はというと…あたしの必死な抵抗の成果あり。



未だコトには至っていない。



そりゃ毎晩のようにされてはいますよ!



あの甘くてとろける特上キッス。



その度に何度、赦してしまおうと思った事か…。




でもあたし、決めてるの。



本当に好かれて赦したい。



王子はあたしを求めてはくれるけど『好き』なんて一度も言ってくれたことはないんだ。



…じゃぁ聞いてみたらいい?



はい。聞きましたとも!




『…は?前言ったじゃん』



『なんて?!』



『千亜稀とならイケそうだって』




…ガクゥ…ッ




『は?何でガックリするわけ?』




はぁっとため息。



結局そんなもん?



それ以来(それ以前も)あたしは死守も死守。



でもそろそろ…やばいよね。



あたし、今朝みたいな夢、初めてじゃなかったりもする。



あたしの願望?


そう望んでるの?




うはーッと深いため息をついて少し小さいスーツケースを絨毯の上で転がせる。




今日から宿泊学習。



そろそろヤバめの王子と離れられていい機会かもしれない。





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