第55話

翌朝、今度は遅れずに起きた一日のスタート。



椅子に腰掛け、鏡の前で肩より少し長めの髪を「お嬢様結び」でまとめてみる。



上部の髪だけを結う結び方。


自分で髪を掬い上げ、そっと髪にくちづけする。



昨日の王子の仕種。



………。



(あたしのアホォ!!!)




鏡に写った赤く腫れ上がる頬から視線を外して制服を整える。



大きめのセーターで赤地に深い緑ラインのスカートを隠した。



紺のハイソが一応規則。



気を落ち着けてフンフンッと鼻歌を歌い、一人先にスイートルーム…いやいや、自分の部屋を出る。





チーン




レトロな音でその箱から出て、念願のバイキング朝食を頂く。



レストランの前の掲示板に人だかり。



人が沢山集まってると気になってしまうのはなぜだろう。



あたしは最後尾から、ぴょんぴょんと前にいる人込みを垣間見ようとした。





ピョンピョン



グラッ



ドフ




「あιすみません」



深々とお詫びすると、前にいた人達が身を避けてあたしの前に道を作った。





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