第52話

「…ンン…ッッ!誰か来た…ンッッ」



「…んなのいいから」




「…ンァ…ダメ…




ダメ!!!」



ぐいっと王子の顎をあげる。



グキッ




「………。怒」



「ッごめっ」



言わなくても伝わる負のオーラ。


あわわッと口元で指を曲げる。




「…萎えた」



不機嫌そうに呟いて、すっくと立ち上がりドアを目指す。



髪をくしゃっと触って、気怠そうに歩く後ろ姿も様になっててかっこいい。




(あああぁぁぁぁ!

あたしってば!あたしってば!)




王子を求めてしまった自分


王子に惹かれていってる自分



(ぐはぁ…ッ!恥ずかしいッッ)



ソファーの上で手の平で顔を覆って、ジタバタもがいてるあたしのお腹に何かが置かれた。




「祖母さんから」



お腹の上に置かれた紙袋。



「…開けていいの?」



視線で「どーぞ?」と言っている。



あたしは紙袋を開けた。




.

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