第51話

もう一度、優しく唇が触れる。



リズムって合っていくものなのか、王子の顔がゆっくり近づいて一緒に瞳を閉じた。



今度はあたしを伺っているかのように、強引に分け入ってきたりもしない。



入り込んだ手も今はあたしの顔の横で優しく折り畳まれている。



優しく唇を包み込むだけのキスにあたしの方が何だか我慢できない。



あの感覚を感じたいと思ってしまっている。




…チュ




「…ッッ」

「…!」



吸い込まれるだけだったキス。



あたしが自分から王子を求めてしまった。




驚いて、クス…と愛しそうにあたしを見つめる。



その目…優しくて、熱い。



見つめられるだけで…あたし…








コンコンコン




『克穂-?』





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