第47話
「なによ」
首だけ振り返る。
「…あまりにも面白過ぎるから言うけど…背中のソレ、そろそろ取ったら?」
あたしの背中を指差して、すでに口の中で笑っている。
ソレ?
ドレ?
左手を後ろに回して「ソレ」を触る。
カサ…
(紙?)
落とさないように指で挟んで引っ張る。
ぺりっと制服から剥がれる音がしてソレをあたしは見た。
『ちあきの乳はA'(ダッシュ)』
「ンがァ?!」
フルフルと震える手に、カサカサと音を立てるその紙。
後ろでクククと噛み殺して笑っている。
ツボに入ったのか
堪えていたのか、その笑いがいつもより長い。
立ち尽くすあたしを追い越して「Aダッシュ」と耳打ちして通り過ぎる。
「…こ、これ誰の仕業よぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
遠くから犬の遠吠えが聞こえる。
ァォオ---ーーーン…ッ
(佐伯原様が笑っていらっしゃる…)
(はいぃ!先輩ッ!中等部の頃に比べると随分お楽しそうで!泣)
(さすが我らのくじ引きのお陰+゚)
(ですよね!それにしても可愛いっすね!)
((ちーちゃんッ))
あたしは全力疾走でムカつく笑みを浮かべるクソ王子を追い掛けた。
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