第46話

「見てただけで助けてくれなかったの!?」



ドキドキを悟られないようにムッと強気で返す。



「あんなん囲まれる方が悪いだろ」



その姿勢は崩さず、今度はコキッと首を鳴らした。



さっきの優しい言葉が嘘のように、冷たい言い方。



「あ…そι」



がっかりと胸が鳴り、あたしは気が抜けて教室から出た。



夕焼け雲が窓の外をゆっくりと流れている。



雲の下方をオレンジ色に染めて、上方は白色というよりは少し灰色。




頬を染めるあたしはオレンジ。


少し(いや、だいぶ)捻くれた王子は灰色。




あたしたちの上下関係を表しているようなグラデーションの雲を見上げた。












「なぁ」



寮までの道、後ろを歩くひねくれ王子が呼びかける。

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