第42話

これが、あたしのヒーロー??



可愛い顔に長いまつげ。



少し丸みを帯びた卵形の輪郭にキラキラ輝く大きな瞳をバランスよくのせている。



笑うと目元に笑いジワ。



小さい頃は女の子よりも可愛かっただろう。



いや…今でさえ、あたしなんかより余裕で可愛い。



あたしと同じ目線。


160センチないくらい。




「あの…どちら様で?」



「えっ!!僕の事知らないの!?」



大きな瞳を、ますます大きくさせてあたしを見る。



顔を近づけてくるから、同じ目線のあたしとしては唇を守りたい衝動に駆られる。



でも腕ごと抱きしめられているので、手で守ることは出来ない。



「僕の事知らないなんて…」



シクシクとあたしの肩に顔を埋めて泣いている。



吐息が首元にかかって背筋が通る。




(ちょっと誰かぁッッ!泣)









「何やってんの?」



ドアの所に立つ一つの影。



その影が、あたしと咲人という男の子をべりっとはがした。




(た、助かった…)

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