第41話

「見ぃ~っけた!!」



力の限りつぶった瞳を、その声に反応して見開くとチカチカと星が瞬いていた。



あたしに距離を狭めていた彼女達も振り返る。



その星の中、そこに立つ一人の男の子。




…誰?




「あなたが僕のお姉ちゃん!?」



彼女達に突進をかまして、あたしの所へ走り寄る。



黒板に吸着していたあたしの首に手を回して、ゴロゴロと甘えている。




(お姉ちゃん!?)



そのチビ猫のような態度の男の子。



あたしと同じくらいの背丈。



(誰!?つーか離れて!!)



ぐいぐいと押してもビクともしない。











「咲人(サキト)様」



また「様付け」の男が現れた。




「お姉さん達、ここで何してるの?」



名前を呼ばれて、やっと彼女達に気づいたかのように、あたしに抱きついたまま振り返る。



黒いストレートの髪。



振り返るだけでサラサラとなびいている。



顔立ちはまだ幼くて、黒い髪と同じ黒くて長いまつげ。



可愛い男の子。




「ゃ、特には何も…」



おずおずと引き下がる。



どうみても囲まれてる状況に「何してるの?」と無邪気に聞く辺りがまた可愛い。




「そ☆じゃ、僕とお姉さん二人きりにしてもらっていい?」



にこっと笑ったのが後ろからも分かった。




彼女たちは足早に教室を出て行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る