S♥2

王子と偽造恋愛

第26話

♪~♪



「っは!!!」




携帯のアラームが、けたたましく鳴り響く翌朝。



はっと目が覚めて、あたしは自分の身の安全を確認する。



(着てる!履いてる!前方後方左右安全確認OK!!)



ほっと肩を撫で下ろして、高いベッドから冷たいフローリングへ足を下ろす。



カーテンをあけると東向きのこの部屋は、ポカポカと陽気な光を差し込んでくれる。



(…場所としてはこの上なく最高なんだけどなぁ)



高く昇った太陽を見上げる。



高く…

昇った…



「あぁぁぁぁぁ!!!!!」



バタンッとドアを開けて(もちろん鍵を開けて)リビングに走る。



そこに立っているのはブレサーを身に纏った、息を呑むほどの素敵な男性。



顔と容姿と家柄だけは最高に素敵なイケメン男性。



…性格を除いては。



「あぁ。おはよう」



そのにこやかな顔とは裏腹にトゲトゲしい物言い。



「お…おはよ」



引きつり笑顔のあたしを横目で見て


「じゃお先に」


と鞄を持って通りすぎていく。




「ちょっ!!置いていくわけ!?」



「一緒に行きたいわけ?」



(ぐ…そ、そういうわけじゃないけど…)



自分の腕を掴んでその視線から外れる。




「遅刻は勘弁。あ、言っとくけどもう朝食の時間終わったよ?」



すたすたと歩いてドアの閉まる音がした。




(え…

は…





てか…




その態度あり!?怒)

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