第23話

「絶対絶対入って来ないでよ!!」




「へいへい」




「絶対絶対絶対だからね!!!!」




「へいへいへい」




いつの間にか運ばれていたあたしの荷物。



パジャマだけ取り出して、カラスの行水並の早さでお風呂を済ませた。




『そこまで警戒されちゃ萎えるっつの』




テーブルに足を乗せてソファーの上でくつろぐ偽王子が素っ気なく言う。




その隙にお風呂を済ませていよいよ就寝の時間。



明日から初めての高校生活!



今日出遅れてるから友達出来るか心配だしなぁ…



てことで!

「もう一度言うけど絶対入っ…ッ」




個人の部屋の扉が目の前にあるから、お互い部屋に入ろうとしている今現在、目の前にエロ王子が立っていたりする。




言いかけて途中でやめる。



なぜならば…



「それって『入ってきて』って誘ってんの?」




ドアに押しつけられたあたしに綺麗な顔が近づいているから。




「なななんでそうなるのよ!」




「千亜稀の目が俺を欲しいって求めてる」



ニヤリと笑って背を屈める。



顔の隣に置いていた手があたしの髪を掬い上げて、そっと耳を触れた。




(その手つきがやらしいんだってばぁぁ!!!!)







目を逸らしたら負けな気がして、逸らさずにいると


「ほらその目」


とあたしを熱い瞳で見る。




(どっちが……ッ)






.

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