第22話

王子の皮をかぶったS男。



あたし以外の前では完璧に猫かぶり。



おばあさまの部屋。


ふかふかのソファーに座らされたあたしの隣に座る偽王子。



すっと組む長い脚が憎たらしい。




「ばッ場所はたくさんあるじゃない!」



広い居間に大きなソファー。


あたしはテーブルの向こうにあるソファーを指差して奇声をあげる。




「千亜稀の隣が気持ちイイ」




(気持ちイイってあんた…)




再びあんぐりと口を開けるあたしに、顔を重ねる。



チュ




「!!!」



「隙あり」




ペロッと唇を舐めて言う。





「俺、千亜稀とならイケるかも」



そう耳元で囁いて、おばあさまが運ぶティーカップのお手伝いに席を立つ。




(イクってどこに………




どこに………


イクんだーーーッッッッッッッ!!!)




悶絶状態のあたしを見ておばあさまが「緊張することはなくってよ。隣に…ほら克穂、座ってあげなさい」なんて言ってる!




あたしの方を見て鼻で笑う偽王子。




(おばあさま…あなたの孫、最悪です…)




隣で微笑む王子笑顔。





誰かこの男どうにかして!




.

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