第21話

「あら…この子が…」



おばあさまの視線があたしを捕らえる。




「彼女がホームシックになっていたので慰めていたところです


今ようやく涙が引いて…」




(えっ?!はっ?!ホームシック?!?!)



演技を台なしにしそうなあたしの顔を、自分の背で隠して「シッ」とあたしに目で訴える。



いくらなんでもその言い訳…乱れたあたしの制服を見れば嘘だと分かるだろう…



死んだ魚のように半開きで彼を見る。



あたしのその顔に笑いを堪えるが、おばあさまを見る時は真剣な顔に変わっていた。




(こいつ…マジで猫かぶり…)




「さすがあたしの可愛い愛孫息子。さぁさ…あなたもいらっしゃい。おいしい紅茶をご馳走するわ。土日になればお家に帰れるんだから心配することはないのよ。そのうちここが自分のお家以上になることを望んでいるわ」




あたしの肩を抱いてゆっくりと部屋を後にする。



強引さはおばあさま譲り。



あたしに有無を言わさず連れていく。



振り向くと頭の後ろで手を組んで、あっかんべーと舌を出している。




(あの男…いつか正体バラしてやる…)






あたしは胸にそう誓い、おばあさまを見ると、嬉しそうに孫を自慢するその顔に言葉が出なくなった。







(あぁ…あたしの高校生活いったいぜんたいどうなっちゃうの…?)






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