第3話 もの思いこそすれ
把握した。バッチグーだ。
僕ちゃむには落ち込む暇はない。
URという結果が私たちを特別たらしめるのはなにも、生まれながらの素晴らしい地位や、運だけではない。
そう、お待ちかね、スキル登場である。
転生先ルーレットは転生した際に、1人に1つ誰かさんからスキルを賜るのだ。
ただし、転生先のパワーバランスをぶち壊すようなスキルは受け取れない。
カゲロウは不老不死にはならないし、ミミズは基本、モグラなんかにはどうやっても勝てないのだ。
これでガッカリしちゃったやつ、論外。
はい次。うん、そうだよね。
そもそもこの世の理というものに刃向かうスキルは往々にして我が身をも滅ぼす結果となるに決まっている。
そして、さっきの逆を言えば、モグラはどんなスキルを得たって、ミミズにはそうそう負けない。
つまり、スキルは今後を左右するが、右にも左にも道は繋がっているのだ。
じゃあスキルを確認してみます。
how to スキル見
①『スキル確認!!』
②スキル確認
手順通りにやってみよう。
スキル確認!!!!!!
ありったけの声量と引き換えにスキルの文字が浮かび上がる。
僕の唯一のスキルは
『巨大』であった。
……巨大?
確かに僕がつい先日まで携えていた親指に比べれば、破格の大きさだ。
はっきりとは分からないが、周りの木の高さから考えて、木の半分の高さといったところか。
そして、異形である自分に、このスキルはいささか不便かもしれない。
人間に逃げ隠れするような身分かもしれないのに、身を隠す素質がまるでない。
しかし、戸惑ってはいるが、ハズレではないように思う。思いたい。
そして、嘆く時間はない。
この世界の自転周期の感覚は全くないが、
森のトーンが段々と暗くなるのを感じる。
初めての夜が来るのだ。
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