第2話  I am fine thank you

このルーレットでURに輝くのは非常に困難なことだ。今までルーレットを行った全員がこれを望んでいたが、成就した者は蟹の片手で収まるほどである。


そのため、げん担ぎで横歩きでゲートに入っていく者もいたりいなかったりする。


その危険な賭けに対して、僕は圧倒的優位性を示していた。


どうして夢で言われたことにここまで入れ込んだのか分からないが、妙な説得力があり、子供の頃からあてにしまくった。


この20年間で、学んだことは0。成長したことは0。成し遂げたいことは0である。言うまでもなく、この世界に用がなくなるとわかっていたからだ。


自分ながらに完全無敵な理屈だと驚嘆する。


しかしやしかし、この容姿端麗、博覧強記の僕(かっこよくて、賢い)はあろうことか、口で30秒を数えてしまった。


いくら才能に恵まれた僕でも、30秒ぴったり数えるのはそれこそ至難の業である。


そのことに気づいたのは愚かしくもゲートに入る直前である。頼むから四捨五入が適用されてくれー!




……そうして、僕はナメクジとしての生を享受する羽目になった…


わけではなかったんだわ。


ここはやはり自分である。生まれた地こそ緑に囲まれた辺境だが、目線が高い!!


これは明らかに直立二足歩行が為せる業である!!

URであるかは定かではないが、まずは人間で良かったー!


と一息。何かに気づく。


…自分がどうやって呼吸しているかが分からないのだ。なにか体全体から酸素が入ってくる感覚、、、皮膚呼吸してないか?!


咄嗟に口の所在を腕で確認…。

出来ない!!!


急ぐ。自分の様相を確認するため。

視認。鏡代わりになるような水面を。



驚愕。絶望。その他の感情5%ほど。



自分を水の中から覗くのはたっくましく自立する一本の親指であった。

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