話を聞いてちょうだい。

私は今日、彼氏に別れを切り出された。

付き合って3年経ったのだが、どうやら私の愚痴を聞くのが苦痛だったらしい。


私はモヤモヤした、無性に腹が立った、

私のせいなのに。


もう、動きたくない、でも、3年ぶりに吸う

タバコと3年ぶりに呑むお酒が欲しい夜だ。


そうだ、タクシーを呼ぼう。

この時、私は話を聞いてもらえる上に、

ほぼ動くことなくコンビニへ向かえると

考えたのだ。


タクシーを呼んだ。


「お客さん、どこまで?」


「えっと、、すぐそこのコンビニまでお願いします。」


「お客さん、冗談はよしてくださいよ笑、歩いた方が早いし、お金も掛かりませんよ?」


「いや、いいんです、今動きたくなくて、笑」


「お客さん、何か今日あったんですか?」

運転手の後藤さんは私の顔を伺いながらそう聞いた。


「実は、今日彼氏に別れを切り出されちゃって、、」


「あぁ、そうなんですか、まぁ話なら聞きますよ。」


「ありがとうございます。」


「じゃあ、目的地まで行きますね。」


「それで、お客さんなんで彼氏と別れたんですか?」


「それが、私の愚痴を聞くのが苦痛だっt」


「お客さん、着きました。」


「あ、笑じゃ、じゃあ、ま、また戻ってから話します。」


私は、話せなかったことに恥ずかしがりながらコンビニへ足を運ぶ。


「ありがとうございましたー!」


私は昔よく吸っていた、セブンスターとお酒を片手にタクシーへ戻る。


「それじゃあ出発しますね。」


私は早いとこ話そうと話をいきなり切り出す

「それで、私今日、ずっと泣いてて、、友達にも相談乗ってもらったんですけど、、、泣」


私はもう、泣き出しそうになっていた


「お客さん、だいじy、着きました。」


「え、あ、え、あの、、少しだけ居てもいいですか。」


「えぇ(*^^*)構いませんよ。」

そう言うと運転手の後藤さんは、手に着けていた時計を袖からおもむろに出し時間を確認する。


「あ、続けていいですか、?」


「はい(*^^*)」


「それでぇ、、私、彼氏に反抗したんですよ、あんただっていつも家事してくんなくて、共働きだってのに、、って」


「あぁ、そうなんですか、、それは大変でしたね。」


こんなような会話が1時間続いた。


「それでぇ、、私、本当に怒っちゃって、、、」


運転手の後藤さんは何を思ったのか、ハンドルを握りはじめた。


急発進する。私は驚いて声を掛ける。


「え、う、運転手さん、、!?」


その時、私は思った。

私の家は樹海に近かった。車で10分もすれば樹海に着く。


案の定、着いたのは樹海だった。


私は何度も反抗したのだが、運転手の荒い運転により、反抗することさえ出来なかった。


「え、ちょ、、」


車は樹海にどんどん進んでいく。木々さえ無視し中へ中へと進んでいく。


タクシーが止まった。


「運転手さん!?、急にどうしたんですか!?、なんでこんなこと!」


運転手の後藤はこう言った。

「アンタのそう言うとこなんじゃないんですか?彼氏さんが別れたの。頭冷やせ氷枕。」


運転手がそう言うと、私は運転手に引きずり降ろされる。


「きゃっ」


私が、驚いて唖然としていると、運転手は既にタクシーに乗り、エンジンをかけていた。


「え、ちょ、まっt」


タクシーが発進した。私は確信した。


あのタクシーは彼氏のお父さんが運転していたタクシーだ。




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