第2話
自前の民間療法を開発し、実践しています。
単音調整法。
口と喉を開けて、あーと息を吐いて、少しずつ押し出す力を足していく、音になり出したら軽く胸を叩く、それに合わせて音をリズムで鳴らし、音階を声で出す。鳴らしたい音をチューニングして出す。
これは成功率が高く、友達と十五分もぶっ通しで話せたが、一息つくと話し方を忘れる。同時にかなり疲れが出てしまって、喉が痛くなる上、十五分しか持続時間がないため、バイト先で使えない。
過度呼吸反復法。
吸い込む力を大袈裟にして、吐き出す時にあいうえおが言えるかトイレで試してみた。
あいうえおという音が声と判断するならば、確かにあいうえおは言えた。トイレだからいいけど、バイト先でやったら狂気である。喉は痛い。不採用。
マッパで足を肩幅に開いて、お腹を叩きながらリズミカルなテンポを腹太鼓で表拍と裏拍をきれいに出せたら単語言えるかなチャレンジをしたけど、出たのはオットセイの鳴き声みたいな音だった。バイト先で脱ぐわけにいかないから不採用。
浴室内深呼吸発声法。
湿度が高まった辺りに深呼吸をして、吐いた時に喉から音を出す。声ではないものの「おかし」と音が出た。
試す前から結果は決まっていて、残念ながら浴室をバイト先に導入する権限が無いので、この方法は不採用。
タイムラインに流れてきた漫画で「なんかホンマは浮気してるのに彼女には束縛キツくして、彼女がめちゃくちゃかわいいのにムカつくわ」法をしてみた。殺意湧いた。引用のツイートが流れた上、そんな限定的なことがバイト先で起こる事が無いし、声も出ないからこの方法は不採用。
座っている状態で右足裏を鼻に近づけて痛さと臭さで声が出る法を試した。ふとももが張ったけど、案外いけた。そして足が期待するほど臭くなかった。水虫の可能性が無いことが分かった。バイト先で接客中に座り込んで足の裏におうわけにいかないから、この方法は不採用。
声なんて無意識に出していたから、この出ないという状況は変な感じがする。
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