11月17日(日)

「おはよ」

「おはよう」


 昨日の夜は、なかなか寝付けなくて、朝方に眠ったせいで昼近くに目が覚めた。

富田さんは私たちが起きたことを確認すると、リビングに呼び出した。


「おはよう。もう、昼だけど」

「おはようございます」

「昨日はふたりとも無事で何より。怖い思いをしたと思う……」

「でも、この家が爆破されなくてよかったなーって」

「目印のおかげだ、無線で部隊と連絡を取ってたから無事だったんだよ」

「富田さんがいなかったら、危なかったです」


「さて、本題だ」


 昨日の爆発で、ここら辺りのゾンビが大幅に減ったようで、富田さんが元居た部隊は次の場所へ向かうことになったそうだ。

傷の処置も適切にしたおかげで、まだ走れはしないが随分良くなったようで、完治目前にはここを出ていくのだという。


「そうですか……」

「渋谷にまたゾンビが発生しているみたいで、行かなきゃいけないんだ」


 ここ最近ニュースを見てなかった、東京の中心部が今どうなってるんだろう。

またゾンビが発生したということは、また、ここにもゾンビが来るかもしれないってことなのかな、冨田さんもいなくなるし、何もできない非力なふたりで過ごして食料が無くなって、死んでいくのかな。


「あと数日はここにいられるから、生活物資の調達に出ようと思う」


 これで生きられるようになるか。とか考えてると、甘いんだろうな。


「ふたりはここにいて、待っててくれ」

「冨田さん、怪我してるのに危ないですよ」

「近くに商業施設があるはず、そこまでなら大丈夫」


「私も行きます」


 気づいたら口走っていた。


「私のバイト先なんです。バックヤードの通路も全部わかります」

「え……」

「1人だけ残してはいけない」

「じゃあ、私だけで行きます」

「だめだ」


 立ち上がって言ってみたものの、私には力がない、当然だ。


「みんなで行く……??」

「……」

「……」


 時が止まった。


ミクから出てくると思っていなかった言葉。


……………


「だめだ、ふたりはここから出ちゃいけない」


 さっきよりも強い口調だった。

ミクは本気じゃなかったらしく、小さな声で「ごめんなさい」と言って着席した。


 冨田さんは外は危険だから、武器も扱えないようではゾンビび襲われた時に一溜まりもないと、私たちに外に出るなと説得された。


「わかりました」

「俺の方が身を守る能力に長けてる、任せてほしい」


 軍人と一般人、能力の差は歴然。

でも、そんな人でも絶対に生きて帰ってこれる確証はない。短い間だけど一緒に過ごした人がいなくなるのはいやだ。








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