11月12日(火)
ドドッドドッ、ドドドッ
「ヒュッ!!?」
突然、脳が活性化し、酸素を大量に吸い込んだ。
視界がクリアになって、目の前にミクと軍人さんがいる。
昨日、急に体が動かせなくなってそのまま寝たんだ。
「疲労のせいだろう、体が重たくて動かせなかったんじゃないか?」
「はい」
「ココアのむ?暖かいよ」
「ありがとう」
軍人さんの左足に包帯が巻かれている。昨日庭でうずくまってたのはこれのせいだろう。何度も止血したのかゴミ箱から赤色が少し見えている。
「昨日はありがとう。助かったよ。寝床も貸してもらって」
「パパの部屋なのでお気になさらず。物も少ないし」
一夜ここで過ごしていったのか。外では上司や同僚が戦ってるのに。
話を聞くと、昨日の銃撃戦のなかで流れ弾がかすったらしい。訓練してる人でもケガするんだなと思った。
今は特にこの周辺でゾンビが多く見られるらしく、むやみに外に出られないという。
「銃、持ってるんですよね?」
「持ってみるかい?」
「大丈夫で「はいはい!持ちたい!」
重みがあるらしくて、ミクが持った瞬間に「おぉ」と声が漏れていた。
引き金には触らないように慎重に持っていた。
バリケードに使っている家具家電に重さがあり、カーテンでも外から見えずらくしているため、ゾンビたちも気が付きにくいとお墨付きを貰えた。
渋谷はもう壊滅的だという。
人が集まっていた分被害者も多く、至る所ゾンビだらけになっているらしい。人の避難を最優先させたことでゾンビへの攻撃が遅れて予定より多くの負傷者が出ている。と話してくれた
「軍人さんは、渋谷で戦ってきたんですか?」
「俺は別の地域からの援軍だから、渋谷には行ってないよ。全部上からの情報」
「軍人さんは、どこから来たの?」
「神奈川」
「軍人さ「俺の名前は、冨田ゆうじ」
「冨田さんは、外の戦闘に参加しなくていいんですか?」
ミクから聞かれた冨田さんは、一瞬キョトンとして半分笑いながら言った。
「俺にも家族がいるんだ。絶対に帰りたいんだ」
責務を全うする人は、人間の心を捨てて戦っているのかもしれない。
「ミクたちの護衛ってことで!」
「ここで働かせてください」
「いいよ!」
この家の主人はミクなので従うしかない。
幸いにも居住スペースが分けることが可能。外の脅威からも守ってもらえる。この世界で生き残れる確率がぐんと上がった。
「今日は冨田さん歓迎会ということで夕食は、好きなもの作りますよ!何がいいですか?」
「オムライスで」
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