11月10日(日)

ドドド

パパパパパパパパ


「「!!?」」



 スマホの画面には22:34の表示。近くで銃声がして飛び起きた。


「なになに!?」

「しっ、落ち着いて」


 お互いの声もなんだか聞き取りづらい。寝着くところだったからかな。


 2人でカーテンの隙間から外を覗くと、ゾンビがいた。

今まで見たことない程に、街灯が照らす川に飛び込んでいくゾンビたち、音に向かって走っていくゾンビたち、灯がついた家の中に侵入していくゾンビたち。

たくさんいる。怖い怖い

怖い。


 すぐに窓から離れて昨日ミクが取ってきたシャベルを力強く握った。

戦いたくはないし、もちろん死にたくもないのでゾンビたちが殲滅されるまで静かにしていようとミクと小声で話し合った。

 流石に家着のままでは外に逃げる時に困るので、1人ずつ着替えることに。

特に防御力もないけれど、身軽かつ暖かい格好をしていざという時に備えて構えた。


ダダダダダダダダッダダダッ

ダンッダンダンッッ


 耳に痛みを感じるくらいの音がすぐそこで響いた。


 手榴弾とか、投げ込まれないよね?生きてる人、ここにいるんですけど。

武器まだあったんだ、良かった。誰だよ、日本には十分な武器がないとか言ってたやつ。


ドドドドッダダダダダッ

「生存者発見!!」


 川の向こうの住宅街に自衛隊が到着したみたい。野太い男の人の声がした。

すぐそこで大声を上げるのはいいけど、ゾンビがそっちに行っちゃうよ……。

私たちは安全になるんだけどね。


 眠気は一気に吹き飛び目も、頭も冴えてしまった。

2人でこっそり人間にもゾンビにも悟られないように、細く開けたカーテンの隙間から外を見た。


「こんな状況なのに、眠い……」

「私見てるからいいよ」


 ミクの眠気はピークらしく抗えないらしい。

幸いにも人もゾンビも向こう側に意識が向いているみたいだし、眠気など皆無になった私が見張り続けることにした。


「交代にしようね、起こしてね」

「うん、おやすみ」


 こんな状況でも眠れるなんて、尊敬するよ。

心拍も上がって、朝になっても眠気はこなさそうだな。


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