11月1日(金)

「マ…、…ナ、マナ!!!」

「!?」

「助けて!助けて!」

「!!!?!!??」


 目の前でミクがゾンビに襲われてる。

強張って体が動かないし声も出ない助けなきゃいけないのに、ミクの叫び声で頭がいっぱいになる、辛そう痛そう助けてあげなきゃ、怖い怖いよ

だんだん無くなっていくミクわ見たくないのに見ることしかできない目が離せない


恐怖、恐怖恐怖


「うわあああああああああああああ!!!!」

「キャー!!!?」

「!?」

「なになに!?どうしたの!?」

「あれ……?」


 肩で大きく息をする私を驚きながら見るミクがいた。


「夢か……」


 安心と同時に疲労が押し寄せてきた。

私はまたベッドに倒れこんで天井を見つめた。今日は、大丈夫なんだろうか。


「マナ、静かに外見て…」

「……」


 絶望。

空は快晴、いつも通り川が流れてて、鳥も飛んでる。

違うことといえば死体が転がっているところ。近くにゾンビは見当たらない、死体の近くにはシャベルが落ちてる。戦ったんだ。かわいそうに。


「いつからあるの」

「夜中の3時くらいかな、叫び声が聞こえて、それで……」

「大丈夫?見ちゃったんでしょ?」

「見てないよ、大丈夫。今のところ食欲がないけど……」

「私も……」


 いつもなら朝ご飯を食べてる時間。

食欲も湧かない私たちはベッドの上で天井を眺めることしかできなかった。


 暇つぶしに見ようと開いたMy Tubeも、どの動画を見ても面白くない。

道路のライブ映像も車も走ってない、あるのは歩く死体だけ。

有名なマイチューバーたちが避難してくださいとか、現在の各地の情報を発信しているけれども、脅威になすすべなし。という感じ。

地方のほうではまだ何も起こっていないようで、逃げようとする人たちもいるらしいが、東京ここからは誰一人出してもらえない。

 自衛隊も動いているらしいけど、私たちがいる場所は後回しなのか、外は静かすぎる。


「助けは来るよ、絶対」

「うん」

「ここは安全だから」


 ミクは扉もカーテンも閉めれるものは全て閉め切って、私の隣に座った。


「学校も休みだし、遊んじゃおう」


 部屋にある壁掛けのモニターにマイチューブの検索画面が映し出されて、好きな動画を見て過ごそうと提案してきた。


 私たちはゲームが好きだ。

自分達でプレイするのも好きだけど、人がプレイしているのを見るのも好きだ。

共通して好きなゲーム実況者の動画を見ることに。この人はゲームに対してのツッコミが面白くて、他のSNSでも良く切り抜き動画が多くアップロードされている。


 音量は小さくして、ふたりで笑いあって、たまに外の物音に警戒しながら、動画を見て夜更かしもした。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る