第29話 打ち上げ
「湊くんに問題です。あなたはどっちから燃やされているでしょうか?
1.凛のファン
2.ダンジョン配信者界隈全体
さあどっちだ」
「1番」
「ぶっぶ~、正解は2番の『ダンジョン配信者界隈全体』からでした~」
「うーんゴミ」
はいどーも、昨日のインタビューで普通に失言しちゃった間宮湊です。
今日は月曜日なんですが、大会出場者は学校を合法的にさぼれるので絶賛さぼり中です。
「凛だっけ?その配信者のファンが怒るのは100歩譲ってわかるけど何で配信者界隈すべてで燃えてんの?」
「凛ってガチでダンジョン配信者の上澄みだぞ?」
「うそでしょ?あんなに弱いのに?」
「そういうこと。上澄みの配信者にお前があんなこと言ったら凛以下はどうなんだって話だろ」
「知らなかったじゃ済まされないもんなぁ」
ダンジョン配信者の上澄みにあの発言は確かに炎上するわな。
まぁ、燃えてしまったものは仕方がないので無視する。
「これでファンに刺されつとかやめてよ」
「躱せるだろ」
「そういう問題じゃない」
そういうわけで俺たちは昨日の大会の打ち上げをしに出かけている。
ちなみに今日は平日だ。普通に学校さぼりました。
「平日は人が空いてていいねぇ」
「わかる」
と言いながらカラオケボックスに入る。
俺は絶賛高校生だからフリータイムを500円ちょいで遊べる。コスパが良すぎる。
「綾人はコーラ?」
「今日はカルピスの気分」
「オッケー、取ってくるよ」
「サンキュ」
本日は無礼講というわけで喉が壊れるまでカラオケをすることにした。
◆
「喉がやばい」
「それな。」
結局6時間ぐらいぶっ続けで歌い続けた。
そのせいで喉が限界になっている。
それは綾人も真也も同じらしく喉がガラガラの状態でカラオケを後にして近場の某イタリアンレストランに行くことにした。
「久々にこんなに歌った」
「俺も」
そう言いながらメニューを選ぶ。
ちなみに俺は最近ピザにはまっているのでピザを頼む。あとついでにデザート。
「湊~、ネットニュースに乗ってるよ」
「まじ?どれどれ?」
「これ」
「何気に久々じゃね?ネットニュースに乗るの」
俺の失言がちゃんとネットニュースに乗ってた。この様子じゃ多分鎮火するのは数か月先になるなんて思いながら運ばれてきた料理を食べる。
「まさかここまで燃えるとは思ってもなかった」
「こっちが悪い炎上って何気に初じゃね?」
「今回っていうほど俺が悪いか?」
「6:4でお前が悪い」
「ちなみに残りの4割は?」
「この炎上にガソリンを注いでる厄介ファン」
「別に一個人の意見なんだしこんなに燃えなくてもよくね?」
「一個人って言っても影響力を考えろよ。アレ全国放送だぞ」
「はいはい分かりました」
「こいつホントに理解してるんか?」
「さぁ?」
ちょっと早めの夕飯を食べながら駄弁る。
俺自身が失言したのは悪いとは思っているけど反省する気はない。だって反省したところで鎮火するわけでもないしね。
「それにしたって弱すぎでしょ」
「だーかーらそういう発言はやめろって言ってるでしょ」
「まぁ、実際に戦ってみて面白かったかと聞かれたらつまんなかったな」
「でしょ?」
「いうほどつまんなかったか?」
「綾人は魔法撃つだけじゃん。アレができるなら楽しいだろうよ」
「なんていうか次の動きがバレバレでハラハラしない」
「それな」
「ふーん」
この後、ちゃんとロジックに沿って考えてみたけど配信者たちは画面映えするような動きが多いような気がする。そのせいで本来なら人間相手に必要ない威力を出そうとして大きく振りかぶったりとか、より高威力の魔法を撃とうとして発射の前後に隙が出来たりしているのかもしれない。
「もし俺たちがあのままダンジョンに通ってたら俺たちもおんなじ道をたどっていたのかもね」
「なんで?」
「だってダンジョンのモンスターってほとんど高威力高防御の塊じゃん。そんな相手ばっかと戦ってたらね?」
「あぁ~、それだったら余計に振りかぶるかもしれん」
「俺たちがダンジョンに行くのを辞めたのは正解だった?」
「いやーどうだろう。少なくとも近接主体の俺は正解だけど、魔法主体の綾人とかはどっこいじゃね?」
「どっちにしろ今回俺は準優勝してるだし成長の実感は沸いてるよ」
「俺は湊に途中で狙われたせいで入賞止まりだよ」
「悪かったって」
「別に行けどさ、もう少し戦ってたかったなぁって」
「次がんばろ」
「そうだな」
そんな風に昨日の大会のことを話していたら気づけば門限がせまっていた。
まぁ、このまま集まっても特にやることもないしそのまま流れ解散で今日はお開きとなった。
家に帰ると親から大会の優勝トロフィーが届いていることを知らされた。
とりあえず自分の部屋に飾っておこうということで部屋に段ボールごと運ぶ。
「さて、どこに置こうか」
なんて考えていたら風呂が開いたので風呂に入る。
結局、風呂に入っている間も考えていた結果、クローゼットの上の物置に置いておくことにした。
◆
翌日、さすがに2日連続で学校をサボるわけにもいかないから普通に登校する。
教室に着いてクラスメイトと一昨日の大会とかの雑談しながら時間を潰す。
「そういえば昨日、誰かが湊のこと探してたぞ」
「まじ?誰?」
「凛って人」
うーん、昨日学校さぼって良かったぁ~。
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